新書はこれを読め!

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  • 高学歴親という病
  • 山本由伸 常識を変える投球術
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新書はこれを読め!

[レビュアー] 新潮社

 篠田英朗『戦争の地政学』(講談社現代新書)は、ユーラシア大陸で続く19世紀のような戦争のメカニズム、横暴極まる隣国の行動原理などを地政学という補助線を使って解き明かす。八面六臂の活躍をしている小泉悠の『ウクライナ戦争』(ちくま新書)と併せて読むと理解が深まる。

 成田奈緒子『高学歴親という病』(講談社+α新書)は、山中伸弥教授の同級生でもある脳科学者が語る子育て論。意識高い系の親による子どもの「いじりすぎ」を戒め、「原始人のような子に育てよ」「早寝早起き朝ご飯を」などと親の基本的な態度を説く。

 WBC効果でプロ野球も盛り上がっているが、野球好きにお薦めしたいのは中島大輔『山本由伸 常識を変える投球術』(新潮新書)。いまや球界最高の投手に上り詰めた山本は、野球選手としては小柄なのにどうして圧倒的な投球を続けられるのか。その理由を独特なトレーニングと思考法に求めた納得の一冊。

 浮世の諸々がイヤになった向きには、篠田謙一『人類の起源』(中公新書)を。近年飛躍的に進んだゲノム解析によって明らかになりつつある、人類の進化の軌跡を丁寧に解説している。科学者が最新の知見を一般人にも分かりやすく伝えてくれる、教養新書の見本のような良書だ。

新潮社 週刊新潮
2023年5月4・11日ゴールデンウイーク特大号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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