『帝国図書館――近代日本の「知」の物語』
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【気になる!】新書『帝国図書館』
[レビュアー] 産経新聞社
戦前日本の国立図書館である帝国図書館。ただ閲覧料の徴収や原則的に館内閲覧のみだったことなど、その姿は現代人が親しむ図書館とはやや異なっていた。明治初期の書籍(しょじゃく)館を源流として、戦後に国立国会図書館に統合されるまでの約80年の歴史を描く。
古今の書籍を収集保存し、市民に無料で提供する図書館は近代国家に必須だが、問題はどちらの要素を重視するかだった。明治30年設立の帝国図書館は前者を目的としたが、書庫も閲覧室も大正年間には早くも手狭となり、入館者は時に列をなした。常に予算不足に泣かされた「東洋一」の図書館の現実を描く。(長尾宗典著、中公新書・1012円)