【気になる!】新書『時を超える美術』
[レビュアー] 産経新聞社
副題は『「グローカル・アート」の旅』。万人の心を打つグローバルなアートにこそ、ローカルなものが染みついていると著者は説く。美術館の学芸員・館長として数多くの展覧会を手がけてきた著者が「グローカル」な近現代アート・建築・デザインを選び、風土に絡めて語ったエッセー。
建築家ガウディとバルセロナ(スペイン)、芸術家の北大路魯山人と京都的なるもの…は想像がつく。抽象にも風土は息づいているという指摘が面白い。神戸に生まれ、パリで本格的に絵画を始めた菅井汲(くみ)の抽象画には、モダン都市の疾走感が感じられる。(新見隆著、光文社新書・1056円)