『増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学』
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国民負担率48%時代のサバイバル術
[レビュアー] 田中秀臣(上武大学教授)
森永卓郎『増税地獄』は、著者の地獄シリーズ最新作である。「相続地獄」「長生き地獄」と続いた経済問題の地獄めぐりもいよいよクライマックスだ。税金と社会保険料など国民負担率はついに48%まできた。江戸時代より取り立てがきつい。政府の緊縮政策が原因だ。年金は負担だけ増えて、給付は乏しい。このままでは年金だけで暮らすことは不可能で、死ぬまで働き続けなくてはいけない。
モリタク先生(私のつけた愛称)の危機感は半端ない。経済対策は必要だが、本書では生き方の転換が中心だ。この20年ほど、「年収300万円」時代からさらに経済が落ち込み、多くの人が「年収120万円」になる危機を著者は指摘してきた。緊縮政策を批判することは誰でもできる。だが、モリタク先生は、その「年収120万」の低所得や、あるいは夫婦で年金13万円になっても豊かに生きる方法を提示し続けてきた。経済苦に負けてたまるか「ケセラセラ」の精神だ、というのがモリタク経済学の真骨頂である。
具体例も豊富だ。都会の暮らしを捨て、田舎ほどではない都市近郊で、畑をたがやし、野菜や果物を自産自消することで生活コストをおさえる。畑仕事をするので健康にもなる。さらに電気・水道代の節約方法も指南している。豊かな生活の決め手は「教養」だ。いろんなことに関心をもち、知恵と感受性を養う。モリタク先生の膨大なコレクションを集めたB宝館はその具体化だ。ぜひ行こう。