『チェコスロヴァキア軍団と日本 1918-1920』長與進著
[レビュアー] 産経新聞社
シベリア出兵の当初目的だったチェコスロヴァキア軍団の救出。日本では長期にわたる無益な派兵の中の一エピソードとして忘れられがちだが、独立国チェコスロヴァキア成立史の観点からすると非常に重要な事件だった。「この時期の両国の関係が、歴史上でいちばん近かった」と位置付ける東欧研究者が、軍団の機関紙から見える日本との交流を明らかにする。
出兵初期の両軍関係は、きわめて友好的だった。傷病兵と日本民間人との交流美談も生まれるが、軍団が帰国する最終段階では日本軍との謎の多い銃撃戦も生じる。歴史に埋もれた興味深い事件が満載。(教育評論社・2640円)