「哲学のノーベル賞」を目指して創設された「バーグルエン哲学・文化賞」を受賞した批評家の対話集。大西巨人や富岡多惠子、高橋源一郎、村上龍ら文学者と交わした10編を収める。
対話が行われたのは、平成のバブル絶頂期からリーマンショック後の景気低迷へと至る20年。揺れ動く社会を見据えつつ、資本主義の実相やインターネットの可能性を論じる。かと思えば、漱石作品のユーモアの力について語り合う。ジャンルを自在に横断し、ありとあらゆる問題を深く掘り下げていく。そんな文学的思考の妙味を味わえる。(講談社文芸文庫・2640円)

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2023年5月21日 掲載
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