『五月　その他の短篇』アリ・スミス著（河出書房新社）

　よ。久しぶり。元気してた？　そっか、それはお気の毒に。この時期はいろいろあるよね。ボク？　じつは、最近、恋に落ちまして。浮気だなんて、そんな軽いもんじゃない。雷に打たれたような衝撃的な出会いでさ。ほんとマジ奇跡。いや、昔から気になってたんだけど、最近たまたま再会してね。どこがって、そりゃゼンブ。想像力豊かで、遊び心があって、ユーモアのセンスも抜群だから一緒にいて飽きないんだよね。それに、知的だけど、すれてないし、何より愛がある。別人みたいだって？　確かにそうかも。一緒に時間を過ごしていると、まるでちがう人間になれるというか。心がひとつになる感じがあるんだよね。何って、電話で話したり、本屋に行ったり、部屋でダラダラしたり。あとは、美術館に行ったり、クリスマスに教会に乱入してみたり。両思いかって？　そんなの関係なくねぇ？　いやいや、酔っ払ってなんていないって。ちょっとふわふわハイになってるだけ。意味不明？　ごめんごめん。また今度きちんと紹介するからさ。とりあえず読んでみて！　岸本佐知子訳だし！

• 岸本佐知子
• 河出書房新社
• 辛島デイヴィッド
• アリ・スミス
• 五月 その他の短篇

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