『ロッパ食談 完全版』
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【気になる!】文庫『ロッパ食談 完全版』古川緑波(ろっぱ)著
[レビュアー] 産経新聞社
丸顔にロイド眼鏡でおなじみの昭和の喜劇王、古川ロッパ(緑波、1903~61年)による食い倒れエッセー集。食の雑誌「あまカラ」に昭和28年から32年まで寄せた文章が底本になっている。男爵家の六男で、喜劇役者になる前は編集者だったロッパは食への探求心、とりわけ洋食へのこだわりが強かったようだ。
高級店の一皿から庶民の味まで、甘辛の評価をしつつ軽妙につづっているが、江戸っ子なのにそばとマグロが食べられないのはご愛嬌(あいきょう)。餃子やお好み焼きの店が東京で急増する様子など、戦後復興期のグルメ事情も分かって面白い。(河出文庫・880円)