『官邸官僚が本音で語る権力の使い方』
- 著者
- 兼原, 信克, 1959- /佐々木, 豊成, 1953- /曽我, 豪, 1962- /髙見澤, 將林, 1955-
- 出版社
- 新潮社
- ISBN
- 9784106109898
- 価格
- 946円(税込)
書籍情報:openBD
『官邸官僚が本音で語る権力の使い方』兼原信克/佐々木豊成/曽我豪/高見澤將林著(新潮新書)
[レビュアー] 井上正也(政治学者・慶応大教授)
平成期の統治機構改革を経て、政治が官邸中心に動くようになって久しい。だが、首相を支える内閣官房の組織がどのように動いているのか、政治主導の下で官僚と政治家との関係はどうなっているのか、官邸の内幕を語れる人は必ずしも多くない。
本書は、第二次安倍政権で内政・外政・危機管理の実務のトップを務めた官邸官僚とベテラン政治記者による座談会である。官邸権力を使いこなすための「トリセツ」と銘打たれた本書は、官邸における政策調整のプロセス、危機管理への対応、予算編成への関与などが詳細に語られている。それは約四半世紀前に刊行された石原信雄氏の『首相官邸の決断』(中央公論社)の現代版ともいえよう。
いわゆる「強い官邸」は制度だけでは実現しない。官僚に活躍の場を与える政治家の力が何よりも重要であるし、官僚同士の日頃からの意思疎通がなければ安全保障や危機管理の司令塔として上手(うま)く対応できない。どのような環境の下で官邸は力を発揮するのか、本書は様々な提言を通じて、令和における政と官のあるべき姿を示している。