「人間は生まれてこないほうが良い」という「反出生主義」の哲学は、何を私たちに問いかけるのか。被害者と加害者との間にはどんな「赦(ゆる)し」の形があるのか-。今を生きる人々が直面するさまざまな問題について、哲学者である著者が4人の論者と対話しながら考えている。
正義や善悪の形、強さと弱さの関係、運命への向き合い方など話題は多岐にわたる。哲学には「思索の成果が一人一人の人生の中に積もっていくこと、その結果として世界の見方が変わっていく」という側面がある。実生活と学問をつなぐ哲学入門書としても面白い。(青土社・2200円)

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2023年6月4日 掲載
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