『コロナ漂流録』海堂尊著
[レビュアー] 産経新聞社
医療ミステリー「バチスタ」シリーズの医師・田口公平も、初登場から15年以上たち責任者の立場に。東城大学付属病院に赴任してきた中堅医師・洲崎の指導を任される。医師のワークライフバランスを主張する洲崎に手を焼いた田口は、シリーズでおなじみの白鳥圭輔を厚生労働省から呼ぶが…。
医師でもある著者は、コロナ禍の動きを取り込んだドキュメント風の「コロナ三部作」を本書で完結。迷走する政治家と官僚、混乱する医療現場、不安を募らせる国民…。どう行動すればよかったか。登場人物のドタバタぶりを笑いながらも、読む立場で受け止め方は違いそう。(宝島社・1760円)