【気になる!】新書『公営競技史』古林英一著
[レビュアー] 産経新聞社
復興と地方財政の健全化を目的として戦後誕生した公営競技の競馬・競輪・オートレース・ボートレースは、馬券などの売上総額が7兆5000億円に達する(令和3年度)。本書は、競馬ファン歴40年の大学教授が競技ごとに背景の異なる根拠法がどう成立・整備されてきたかを詳述。年史を駆使し、社会情勢が売上に与えた影響を分析した。
ギャンブルだけに、熱狂的な愛好者がいる一方、毛嫌いする人も多いが、産業としてみると裾野は広い。インターネット活用など従事者の奮闘が人気持続につながった。高齢者が集える場との視点は、長寿社会を考える上で見過ごせない。(角川新書・1100円)