『頭の回転が速い人の言語化のコツ』
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【毎日書評】頭の回転が速い人がやっている「言語化力」を高める習慣
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
著者によれば、『頭の回転が速い人の言語化のコツ』(金山拓夢 著、総合法令出版)で解説されている「言語化力」とは“相手にわかりやすいかたちで自分の考えや意見を伝える能力”のことなのだそう。
言語化ができるようになると、自分の想いや考えが相手に伝わるようになり、人間関係が驚くほど変わります。
仕事はもちろん、友人、恋愛でも良い関係を築くことができます。さらには、ありきたりな言葉ではなく、あなただけの言葉で想いを伝えられるようになります。
自分の言葉で話せる人は、やがて人から信頼されるようになり、結果的に自分に自信を持てるようになります。(「はじめに 言語化できる人から順に信頼されていく」より)
難しいことのように思えるかもしれませんが、自分の想いや考えを言語化するにはコツがあり、それは難しいことではないのだとか。日常的にちょっと意識しておくだけで、変えていけることばかりだというのです。つまり本書では、そのコツが明かされているわけです。
なお、「伝える」ことに関しては重要なポイントがあるようです。
「話す」と「伝える」は似ていますが、全くの別物です。「話す」は「自分が考えた言葉を、相手が理解できるか考えずに伝える行為」であり、「伝える」は「相手が理解することで成立するコミュニケーション手段」です。
「伝える」ことがうまくならない限り、人間関係は広がりません。(「はじめに 言語化できる人から順に信頼されていく」より)
こうした考え方に基づく本書のなかから、きょうは第6章「言語化できる人であり続けるための習慣」に焦点を当ててみたいと思います。
インプットとアウトプットを繰り返そう
言語化力を高めるためには、語彙を増やすなどインプットに意識を向けるだけではなく、自分でアウトプット(言語化)する環境を積極的につくることが大切なのだと著者は述べています。
例えば、僕の場合、週に1回または2回は受講生に対してアウトプットの場があります。情報を発信し、自分の考えを他人に伝えるためには多くのインプットをする必要があります。
アウトプットする環境はどんな形でも構いませんが、SNSなどで情報発信するようにすると「アウトプットをするためにどんどんインプットをして、いつでもそれを発信できる」ので、言語化力が上がり続けます。(233〜234ページより)
なお、現時点でなにも発信していない場合は、自分が持っている情報を披露できるような場や、同じ興味を持つ人が集まる会などに参加することも効果的であるようです。(232ページより)
言い切る勇気を持とう
いうまでもなく、自分の主張や意見を言い切って伝えることは、相手に対して自分の意志をはっきりと示すこと。そのため、ときには勇気が必要になるかもしれません。しかし、言い切ることは人の魅力を引き立てるものでもあります。
また、言い切る姿勢には、その人が持つ強さや自信、信念が表れます。逆に自分の主張や意見がないとしたら、その人がどれほどの想いを持って物事に臨んできたのかが伝わりにくくなるわけです。
「言い切れない」人は、語尾をぼんやりさせる傾向があります。「〜だと思います」「〜と〇〇さんが言っていました」のように、自分の意見や主張ではない、と逃げ道をつくってしまいます。
自分の主張や意見を持たない人の話は、聞いていて面白くないと感じるでしょう。それは相手にとって魅力的なエネルギーを持つ言葉ではないからです。(242〜243ページより)
だからこそ、これからは思い切って、自分の主張や意見を言い切るようにしたいところ。とくに「〜だと思います」は無意識のうちに使ってしまいがちなので注意が必要だといいます。
ぜひ、自分の話す言葉の語尾に意識を向けることを習慣化してください。そして、最初は身近な人から、勇気を持って自分の意見や主張を言い切って伝えてみましょう。(243ページより)
ただし、どんな場面でも自分の意見や主張を言い切って伝えることがいいわけではありません。場合によっては一方的な押しつけだと受け取られかねませんし、我が強く協調性のない人だと思われる可能性も否定できないからです。
したがって、相手や、相手の話に敬意を払い、「配慮すること」と言い切ること」とのバランスをとることが大切。また、無闇に押し切るのではなく、相手に選択の余地を持たせることも必要だといいます。(242ページより)
口癖、思考の癖を意識しよう
口癖は誰にでもあるもの。自分では意識していないことも多いでしょうが、口癖を使うことで感情や考えを表現しやすくなったり、コミュニケーションをとりやすくなったりするわけです。
しかし、「頑張る」「できる」といったポジティブな口癖ならいいのですが、「できない」「あとでやる」「分からない」というようなネガティブな口癖は、周囲のモチベーションを低下させたり、雰囲気を重くしたりして、コミュニケーションの妨げになることがあります。(245ページより)
ほかの人から口癖を指摘されることもあるでしょうが、そんなときは落ち込んだりせず、「ありがたいな」と受け入れることが大切だといいます。そうすれば自分の言動を客観視でき、「なぜ、それが口癖なのか?」というところから思考の癖を見つけることができるかもしれないからです。(245ページより)
ことばは一生使うものであるだけに、言語化力を磨くのは早ければ早いほどいいはずだと著者。たしかに早く身につけることができれば、コミュニケーションも円滑になることでしょう。伝えることの難しさで悩んでいる方は、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか?
Source: 総合法令出版