誰よりも失敗の多い男は、なぜ超難関試験を突破できたのか?

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夢をかなえる失敗学 失敗すればするほど成功できるビジネスの法則

『夢をかなえる失敗学 失敗すればするほど成功できるビジネスの法則』

著者
中村 誠 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784046068651
発売日
2024/05/02
価格
1,760円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】誰よりも失敗の多い男は、なぜ超難関試験を突破できたのか?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

夢をかなえる失敗学 失敗すればするほど成功できるビジネスの法則』(中村 誠 著、KADOKAWA)は、著者自身の失敗経験をもとに「失敗から学ぶ成功術」「失敗をリカバリーする方法」について書かれたもの。

“誰よりも失敗の多い男”を自称する著者は、人間関係や仕事、お金で失敗し、メンタルが弱すぎて失敗し、ネガティブ思考で失敗し、本番になると失敗し、会話が苦手で失敗し…と、さまざまな失敗をしてきたのだと過去を振り返っています。

しかし、失敗したからこそ“いま”があるのだとも考えているそう。そのため、失敗の多い自分から学べば、必ず「失敗しない方法=成功学」が見えてくるはずだとも述べているのです。

僕の場合、なぜか人生において、何をするにしても必ず壁にぶち当たるのです。

「当たり前にできた」「簡単に成功できた」なんていうものはひとつもありません。

全部ちゃんと壁にぶち当たって、1個ずつ自分なりの解決策・手段を見つけてサバイバルしてきました。失敗するのは僕の弱みでもあるけれど、強みでもあるわけです。失敗を分析することで「失敗をしない戦略」を編み出すことができたからです。

その意味ではまさに「失敗はすべて資産」です。

僕には今、失敗による資産がマックスに近いところまで貯まっています(笑)。この資産を今こそみなさんと共有していきたいと思っています。(「プロローグ 失敗したから成功できた」より)

仕事はどれだけうまくいっていたとしても、それぞれのフェーズにおいてさまざまなトラブルが起こるもの。それは必然でもあるので、滑ったり転んだりしながらも戦っていくしかないわけです。

ただし、失敗から学んで成長を続けることで、相対的な幸福度は上がっていくものでもある――。そうした考え方に基づく本書のなかから、きょうは第5章「『自己成長』ができないときのリカバリー術」を見てみたいと思います。

時間をどう捻出するか

著者は2023年に、「ワインエキスパート」の資格を取得したのだそうです。ワインの資格といえば「ソムリエ」が有名ですが、それは職業としてワインを提供している人だけが受験できる資格。一方のワインエキスパートは、職業でなくとも20歳以上であれば受験できる資格であるようです。

ちなみに合格率は30%という狭き門であるものの、著者は一発合格することができたのだとか。しかし当然ながら合格に至るまでは大変で、とくに苦労したのは勉強時間をどう捻出するかという問題だったそうです。

仕事時間は削れないし、週の半分くらいは会食があったりするため、「時間をつくるなんて無理すぎる」と感じていたというわけです。しかし、よくよく考えてみた結果、ムダな時間があることに気づき、そこから可能性が開けていったのだといいます。

たとえば夜10時以降にダラダラYouTubeを見ていたり、ひとつのミーティングが終わって次のミーティングまで30分あるというときに、ネットサーフィンをしてしまったり……。

でもその30分があれば、産地をこれだけ覚えられるとか、あるいは過去問をやれるとか、そういう発想になりました。30分でやれることっていっぱいあるものです。

あと、朝も起きてからゆっくりしていました。それもパッと起きて行動を始めれば、15分の勉強時間が作れます。

それから移動時間がもったいないことに気づきました。僕はカフェで仕事をすることが多くて、タクシーに乗って仕事のしやすいカフェまで行ったりしていました。その時間も惜しいので自宅にこもるようにしました。(121〜122ページより)

そうやって考えなおしていくと、スキマ時間は意外と多いことに気づけるわけです。そしてその結果、半年間で400〜500時間程度を勉強時間として活用できるようになったそう。しかしそれは著者だけではなく、多くの方にもあてはまることでもあるのではないでしょうか?(120ページより)

超難関試験を突破できた理由

ワインの勉強でいちばん大変だったのは、国別のワインの産地を覚えることだったそうです。すぐに思い浮かぶフランスのみならず、イタリア、スペイン、チリ、オーストラリア、アメリカなど産地は世界中にあるため、それらをその国の言語で覚えなければならないというのです。

その際に役立ったのが、「一点突破」の力。四方八方に目を向けるのではなく目標を一本に絞り、そこに集中するという発想です。たとえば、日本語だったらすんなり頭に入ってくるだろうということで、まずは日本の産地をすべて覚えたのだといいます。

「これだったらほぼ完璧」というものがひとつできると自信がつくものです。勉強のやり方もそこでなんとなく確立することもできます。

次に重要ではあるけれど、産地が少なめで覚える量の少ないドイツに着手。それを横展開させる形でひとつずつ覚えていきました。(123ページより)

最初は途方もない道のりだとしか思えなかったとしても、「ひとつずつ着実に」潰していけば、間違いなく道は開けていくわけです。(122ページより)

ムダを省くクセをつける

こうしてワインと真剣に向き合った結果、思ってもいなかったことも起きたようです。なぜか仕事も、大きくはかどるようになったというのです。

ダラダラ過ごす15分、余計なことに使っている30分に気づき、その時間も全部仕事に充てられるようになったのです。今までは時間をムダにしていることにすら気づいていませんでした。

そして15分、30分のムダであっても、まとまれば大きな時間になることもわかりました。(123〜124ページより)

ムダを省くクセが身についた現在は、ミーティングも30分刻みでこなせるようになったと明かしています。

1日に10件とか余裕で行けます。以前は1日に5件入れたら「今日はすごく仕事したな」と思っていたのだけど、勝手に限界を作っていただけでした。(124ページより)

ミーティングを詰め込みすぎて頭がバグることもたまにはあるものの、仕事の効率は格段にアップしたそうです。(123ページより)

もちろん失敗はつらいものですが、失敗するからこそ前に進めるのも事実。そして失敗をひとつひとつ潰していけば、やがてそれはプラスに転じるはず。だからこそ本書を参考にして、失敗から学んでみるべきかもしれません。

Source: KADOKAWA

メディアジーン lifehacker
2024年5月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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