『近代チベット政治外交史』小林亮介著

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近代チベット政治外交史

『近代チベット政治外交史』

著者
小林 亮介 [著]
出版社
名古屋大学出版会
ジャンル
歴史・地理/外国歴史
ISBN
9784815811464
発売日
2024/03/06
価格
7,920円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『近代チベット政治外交史』小林亮介著

[レビュアー] 苅部直(政治学者・東京大教授)

 ベルナルド・ベルトルッチ監督による映画『ラストエンペラー』を学生時代に観(み)たとき、清朝宮廷でのチベット仏教の存在感の大きさに驚いたことがある。それもそのはず、チベットにはダライ・ラマによる聖俗一体の政権が存在していた。そして清朝が「施主」として支援することを、「応供僧」である自分たちが受け入れるという対等のものとして、チベット側は両王朝の関係を理解していたのである。

 しかし十九世紀末には西洋諸国の東アジア進出、さらに日清戦争という国際情勢の激変のなかで、清朝はチベットの直接支配を主張しはじめる。そして辛亥革命による「漢地」の国家変革の前後を通じて、チベットはロシアや英国、さらに日本とも交渉しながら、「独立」を維持する道を模索していた。その過程で、日本の大陸浪人や天皇その人に、ダライ・ラマが親書を送っていたという事実も興味ぶかい。

 本書はこの複雑な歴史を、現地語の貴重な史料をふんだんに用いながら明らかにする。現代史の見かたを、がらりと変えてくれる本である。(名古屋大学出版会、7920円)

読売新聞
2024年5月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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