『お金が増やせるのはどっち?投資家思考の鍛え方』
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【毎日書評】貯金ゼロサラリーマンから大逆転!「成功者」から学んだ貯金習慣
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『お金が増やせるのはどっち? 投資家思考の鍛え方』(角田和将 著、総合法令出版)の著者はもともと、お金については興味も関心もなかったのだそうです。ところが、知識のないまま、きわめて不利な条件で住宅ローンを組んで危機感を覚えたことがきっかけで、お金の勉強を始めたのだとか。しかし結果的には、それが正解だったようです。
お金の勉強をすると、「老後は自己資金で2000万円必要」といった報道があっても、うろたえることなく将来の資金確保が可能になります。お金を理由に望まない行動や選択を強制されず、財政的に自立することもできるでしょう。
もっと言えば、お金の勉強によって、お金以外の手段でしか最終的に解決できなかったことを解決できる力も身につきました。投資で成功している人とそうでない人で必ずみられる違いが「考え方」にあることに気づけたからです。(「はじめに」より)
なお、お金について学ぶ過程で多くの投資家や事業者と会ってみた結果、重要な気づきがあったのだといいます。それは、成功者たちはみな、「独特な(普通の感覚とは違う)考え方」を持っていたということ。
たとえば損をしたとき、普通の人なら立ちなおれなくなるかもしれません。しかし成功者は気持ちの切り替えが早く、一度はへこんだとしてもすぐに立ちなおれるのというのです。
だとすれば、そういうスタンスを真似てみたいところ。難しそうにも思えますが、決して難しくはなく、誰でも理解できる「成功者の考え方」を実践しつづければいいだけなのだそうです。
そこで本書では、お金の原理原則に関する考え方をさまざまな角度から紹介しているわけです。いうまでもなくそれらは、著者自身が普通の“貯金ナシ”サラリーマンだったころから現在までに学んできたことばかり。
そんな本書のCHAPTER 1「貯金習慣が身につく! お金の基礎知識」のなかから、きょうは2つのトピックスを抜き出してみたいと思います。「お金を貯めるには、習慣を変えることが大切」だという考え方に基づき、うまくいっている人の習慣を明かした項目です。
安定してお金が貯まる人がやっていることはどっち?
A:理想の目標を立てる
B:現状を把握する
(17ページより)
答えはB。
お金についてきちんと勉強することは大切ですが、とはいえ、そのためにまとまった時間を確保するのはなかなか難しいことでもあるのではないでしょうか?
しかし、時間がなかったとしてもできることがひとつあるのだそうです。それは、「お金の流れを把握すること」。
お金に強くなりたいのなら、まずは「お金の流れ」を知り、現状を把握すること。それからどう行動すればいいか、立ち止まって考えてみることが大切です。(19ページより)
具体的な手段として著者がすすめているのは、クレジットカードの明細書を利用すること。仮に毎月レシートをまとめておいて、あとから家計簿をつけるとしたら相応の時間と手間が必要になります。
しかし現代では、電気代、水道代、ガス代、携帯電話代など、ほとんどのものをクレジットカードで支払うことが可能。そこで、クレジットカードを利用してお金の管理をするということ。一気に集約するのは難しいとしても、少しずつ移行させてみればいいのです。
1:まずはできるだけ支払いをクレジットカードに集約する
2:どうしてもまとめることができない固定費(家賃など)は口座引き落としにする(22ページより)
この2点を行うだけで、家計簿をつけなくても、ざっと支出を明らかにできるシートができあがります。こうして「自分がなににお金を使っているのか」を把握できていれば、対策を考えることができるわけです。逆にいえば、現状を把握しないままなにかの策を試してみたとしても、長続きすることなく、すぐに飽きてしまう可能性大。
そういう意味で、まずは「お金の流れ」を把握して現状を知り、その現状に対して「どのような行動を起こせばいいか」について考える時間をつくることが大きな意味を持つわけです。(17ページより)
収入増を狙うならどっち?
A:本業と副業で収入を増やす努力をする
B:本業一本に集中して収入を増やす努力をする
(35ページより)
これはAが正解。本業をがんばることはもちろん大切ですが、仮に会社員だった場合、昇給で収入を増やすのはなかなか難しいものがあるからです。
業界の市場規模や職種などによって差はありますが、連合の春闘第2回集計結果(2024年)によると、中小企業の平均賃上げ率は約4.5%。額にして月額1万2000円弱です。完全歩合給の保険営業や不動産営業でない限り、昇給で大幅に給与を増やすのは、かなり難しいでしょう。
初任給の平均総支給額は20〜30万円であることと、この昇給額を比較して考えると、年収1000万円くらいが現実的な上限になると思います。(38ページより)
しかし、年収1000万円を超えている人は、労働人口の約5%。100人に5人の割合ですから、かなり高い競争倍率です。しかも会社が潰れてしまえば、給料自体が支払われなくなる可能性も十分にあります。
そこで重要なのは、自分で稼げる複数の柱を持っておくこと。そうすれば、個々の収入額は少なかったとしても、より早く、多く収入を増やせるからです。
もちろん、置かれている状況は人それぞれです。しかしそれでも、収入を増やし、貯金額を増やすためには、ひとつの収入を大きく増やそうとするよりも“収入の流れ”を増やすことのほうが大切だという考え方を持ち、実践することが重要なのです。(25ページより)
必ずしも最初から順序立てて読み進める必要はなく、興味のあるところから読み始められる構成。しかも各項目は簡潔にまとめられているので、必要な知識をすぐに身につけることができるはず。お金を少しでも増やせるようになるため、参考にしてみてはいかがでしょうか?
Source: 総合法令出版