今日やることに悩まない。「A4ノート」タスク管理術で仕事を高速化せよ

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A4・1枚ですべての仕事を可視化する 爆速ノート術

『A4・1枚ですべての仕事を可視化する 爆速ノート術』

著者
THEオトウサンノヒミツキチ・Kei [著]
出版社
日本実業出版社
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784534061195
発売日
2024/07/12
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】今日やることに悩まない。「A4ノート」タスク管理術で仕事を高速化せよ

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

仕事のスケジュール管理がうまくいかず、タスクが積み重なってしまったというような経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

A4・1枚ですべての仕事を可視化する 爆速ノート術』(THEオトウサンノヒミツキチ・Kei 著、日本実業出版社)の著者によれば、その原因は「スケジュール管理やタスク管理の適切な方法を理解していないことにあるのだそうです。

スケジュール管理やタスク管理は、たいてい実務を通じて学ぶことになるので、誰もが言葉にできない感覚でタイムマネジメント力を自然と身につけていることが多いのです。

たとえば、社会人経験が浅いうちは、タイムマネジメント力の向上を目指してセミナーに参加したり、関連書籍を読んだりしても、なかなか実践できないのが現実です。

その理由は、「管理の方法(ノウハウ)」に注目しすぎて、その背後にある本質を見逃しているからです。(「はじめに」より)

こう語る著者は現役の会社員。元来タイムマネジメントは得意でなかったものの、積極的に多くの仕事を引き受けることによって多彩な知識と経験を身につけたのだといいます。しかしそんななか、精神的にパンクし、生き方を再考したのだとか。

「仕事ができる人になりたい」と自問自答を続けた末に、得た結論は「休むこと」、家族との時間をはじめとするプライベートを充実させることでした。

つまり、「効率的に仕事を管理し、成果を出しながら、適切に休息を取れる人」こそが、真の「仕事ができる人」だと考えるようになったのです。(「はじめに」より)

そこでここでは自身の経験をベースとして、さまざまな職種で取り入れることのできる考え方を多角的に紹介しているのです。

メリットは、自身が認めているとおり、著者もまた“いたって普通の社会人”であること。つまり、いままさに仕事に悩んでいる方と同じ視点に立てるため、現場で活用できる方法を提案できるというわけです。

そんな本書のなかから、きょうは1日の作業を加速させるための計画法を紹介した第2章「1日の仕事を爆速化する」内の「実践、1日の仕事の爆速化」をクローズアップしてみたいと思います。

タスクや作業の工数を意識する

仕事の管理には、1日、1週間、1カ月ごとにタスクを整理することが不可欠。

そこで大切なのは、やるべきことなどをA4サイズの紙に書き込み、「仕事の棚卸し」をすることなのだと著者は述べています。

ここで紹介されているのは、1日のスケジュール確認ではなく、当日やるべきタスクや作業の工数を意識するもの。

作業工程は行動履歴を振り返って算出することができますが、最初はざっくりでいいそうです。

直近1週間の行動を振り返りつつ、この方法でタスクを効率よく進めれば、日々の工数管理が容易になるというのです。そればかりか、仕事の進め方を見なおし、改善する機会にもなるようです。

(1) 左上に日付

あとで行動の記録、日報として伝えるため、日付を書き込むことはマスト。

(2) 今日の言葉

日付の右側に、その日の仕事を始める段階で「きょう1日をどのようにすごしたいのか」(思い)を短めに記入

「いつもより多めに“ありがとう”という」「イライラしない」など、基本的にはなにを書いてもいいそう。この紙は1日ずっと手元に置いておくことになるので、上部に書いておけば、紙を見るたびにことばが目に入るわけです。

(3) 今日のタスク

日付の下には「今日のタスク」を箇条書きで、各タスクの先頭に□をつけて記入。大事なことはタスクの数で、多くても5〜6個までにしておくべき。

なお、図のPマークは「プライオリティ(数字が示すのは優先順位)」、Tは「タイム(時間)」を表したもの。Cは「コンティニュー(続く)」ですが、引き続きその仕事をすることを意味するそうです。(47ページより)

タスクを何分でこなすか

まず自分が今日やることを書いたら、次は時間(T)を決めます。

各タスクを何分でやるのかを割り振っていきます。時間の使い方は25分を1セットで考えます。というのも、人間が集中力をキープできるのは25分程度といわれているからです(諸説があります)。(48ページより)

ご存知の方も多いと思いますが、この時間の使い方は「ポモドーロテクニック」と呼ばれているもの。25分集中して作業したのち、5分間休憩するという考え方です。

書き出し終えたら、各タスクに時間を割り振っていく段階。ただし3〜5分程度で終わる小さなタスクは、この紙に書き出さず、ささっと終わらせるべき。書き出す5つのタスクは、25分や50分(25分×2セット)など、ある程度時間がかかるもの。これが、「きょう、自分がやるべき仕事」だということです。(48ページより)

どの順番で片づけるか

次は「P(プライオリティ)」で、5つのタスクをどの順序で片づけていくかを決める段階。

書き出したタスクを上から順番にやるのではなく、きょうやるべきことを、それぞれどの順番で、何分でやるかを決めるわけです。それが決まったら、右端のメモ欄に何時から何時までにやるのかを記入。

たとえば図の「メールの返信」は、通常であればルーティンの仕事なので記入は不要。「自分がなにをやるのか」、その日のタスクを明確にすることが重要なのです。

しかもダラダラと作業するのではなく、決まった時刻に決まった時間内で片づけるというところまで決めるということ。

これができていない人は、たいてい仕事が遅く、ミスを連発するものだと著者は指摘しています。そればかりか仕事を終えても、達成感や充実感をあまり感じることができないようです。だからこそ、日々の仕事を効率的にこなすためには、1日ごとのタスクをA4サイズの紙に書き出し、時間と優先順位を明確化させることが大きな意味を持つということなのでしょう。(49ページより)

タイムマネジメント(スケジュール管理、タスク管理)の適切な方法をはじめ、仕事に対する向き合い方や考え方を多角的に捉えた一冊。紹介されていることを実際に試してみれば、仕事の効率が上がっていくかもしれません。

Source: 日本実業出版社

メディアジーン lifehacker
2024年7月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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