『マンガでたのしく!国会議員という仕事』
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『マンガでたのしく! 国会議員という仕事』赤松健著
[レビュアー] 清水唯一朗(政治学者・慶応大教授)
国会議員となった人気マンガ家が国会案内を手掛けた。面白くないわけがない。
出馬から当選、職場としての国会、政策形成、開会中の仕事、閉会中の活動が実に手際よく説かれていく。場と人が丁寧に書かれ、マンガがないページでも常に映像が浮かんでくる。
なにより、筆者の立ち位置が本書を出色にしている。初出馬ながら、参議院比例代表で52万票以上を集めて全政党のトップで当選。地域に縛られず、しがらみに振り回されず、知的財産と文化振興を専門として政策転換に臨む。新しい時代の政治家のあり方がみえるようだ。
切れ味鋭い切込みも魅力だ。議員宿舎や報酬、政治資金パーティー、海外視察など、批判されやすい点も臆さず論じられている。
もちろん、全ての政治家がかくも自由に振舞えるわけではない。しかし、身近な問題を変えるために動き、政治家となり、改革に取り組む姿は勇気をくれる。
そう、政治は生活の延長線上にあるのだ。本書の読者からいつか政治家が生まれればという筆者の願いに強く共感する。政治を近く感じさせる一冊に感謝したい。(ちくまプリマー新書、880円)