『陰陽師の平安時代』
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『陰陽師の平安時代』中島和歌子著
[レビュアー] 産経新聞社
小説や漫画にも登場する陰陽師(おんようじ)は、どのような仕事をしていたのか。陰陽道(おんようどう)とその時代背景を解説した本書によると、彼らは占いを専門とする技官。もとは律令官名だが、10世紀のうちには職業名として用いられ、私的な依頼にも応じていた。占いの対象で最も重要なのは、地震や噴火といった国家的な「災害」と不可解な現象を指す「怪異」だったという。
陰陽道は、災害や怪異が神の祟りとして恐れられていた時代に形成された。外国からの侵略危機だったなら、別の対処法が生まれていたと著者はみる。「おんみやうじ」になるのは鎌倉・室町時代以降だそう。(吉川弘文館・2090円)