『撮るあなたを撮るわたしを 自撮りとスクショの写真論』
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【書評】『撮るあなたを撮るわたしを』大山顕著
[レビュアー] 産経新聞社
ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアによる侵攻が始まった翌日、首都キーウで側近らと共に自撮り動画を撮影。「わたしたちはここにいる」とメッセージを発した。世界が注目したケースを引き合いに、写真家の著者は「撮っている人を撮るもの」である自撮りこそが現代のリアルなメッセージであり、写真の革命なのだと説く。
高性能なカメラ機能を搭載したスマートフォンの普及とSNSの登場は、職業カメラマンの特権性を消失させた。もはや撮影者が無関係な傍観者でいることは許されない。「見られるため」の撮影が当たり前になった時代の新たな文明論だ。(講談社・1650円)