『伝説の化けもの図鑑』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『伝説の化けもの図鑑』山北篤監修/池田明久実絵
[レビュアー] 宮部みゆき(作家)
近年、現実に侵食してくるリアルなホラーが大当たりしている。フェイク・ドキュメント動画やルポルタージュの体裁をとった小説などで、とにかく怖い! それでいて、このムーブメントの仕掛け人であるクリエイターの側には、疑似現実ホラーはあくまでもカウンターであり、古典的な怪談や創作ホラー、実話怪談などの主流があってこその今のブームだという冷静な見解があるのも興味深い。
本書はその「主流」の源、古(いにしえ)からの様々な昔語りや言い伝えのなかで誕生し、畏怖や恐怖を以(もっ)てその存在を信じられてきた古今東西の魅力的な化けものたちの図鑑だ。巨体のドラゴンから小さな神様、ご近所にいそうな豆腐小僧まで、絵は可(か)愛(わい)いのでご安心ください。夏休みの自由研究が締切間際でピンチだったら、絶好のネタ本になりますよ!(中央公論新社、1540円)