「サイタ サイタ サクラ ガ サイタ」で始まる戦前の『小学国語読本』は、国定国語教科書が生活の中の言葉を学習対象にしようとする姿勢へと転じた、コペルニクス的転回だった―。明治から現代まで、小学1年生が親しんだ国語教科書の変遷を通観する一冊。
小学校に入学したばかりの児童に教える文字は、平仮名が先か片仮名が先か。「桃太郎」などの昔話は教科書にふさわしいのか。公教育の近代化を進めるため、国語教科書の編集を巡る試行錯誤が繰り返されてきた。ときに欧米の教科書に学び、ときに反発した手探りの歩みを振り返る。(大修館書店・2420円)
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2024年9月7日 掲載
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