「高円寺のキャバ嬢」がオタ客の同伴でプロレス観戦に行って「スター女子プロレスラー」に!? ジュリア初の自伝

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My Dream ジュリア 自叙伝

『My Dream ジュリア 自叙伝』

著者
ジュリア [著]
出版社
ホーム社
ジャンル
芸術・生活/体育・スポーツ
ISBN
9784834253887
発売日
2024/08/23
価格
1,870円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

高円寺のキャバクラ嬢が女子プロレスのスター〈美しき狂気〉になるまで

[レビュアー] 吉田豪(プロ書評家、プロインタビュアー、ライター)

 当時バイトしていた高円寺の場末のキャバクラで、プロレスオタクの常連客から「ブロレス興行に付き合ってくれたら同伴してあげるよ」と誘われたジュリア。そんな彼女が「最初に見たプロレスは、狭い部屋の中で水着みたいなのを着た女の子が体操で使うマットの上ででんぐり返しをしながら叫び声をあげていて、それを中年男性が取り囲んでニヤニヤしながら見ているという、得体の知れないシロモノだった」。

「なんでこんなモノ観てるの? 恥ずかしいから、もうやめなよ!」「わかったよ、今度はちゃんとしたほうを見せるから。そんな怒んないでよ……」

 それからわずか半年で、彼女はキャバクラのカラオケで鈴木みのるの入場テーマ『風になれ』や獣神サンダー・ライガーの『怒りの獣神』を熱唱し、プロレスオタクの常連客から「君は、プロレスに向いてると思う」と言われるまでになる。実際にプロレスラーへと転身すると生活保護の申請を本気で考えるぐらい金銭的にもブラックな世界だったけど、彼女にはプロレスの適性があった。

「プロレスは八百長だとか、最初から勝敗が決まっているとか、台本があるとか……。そんな噂はプロレスにハマる前から聞こえていたけれど、そういう話とは別次元のところで、あの人たちは闘っていた」

「プロレスのマイクパフォーマンスは全部台本が決まってるんでしょ、とか言ってくる人がよくいるけど、冗談じゃない。マイクはみんな基本、全部出たとこ勝負だ」

 正直な記述も好感が持てるし、イタリアと日本のハーフゆえの迫害に始まり、女子プロレスへの偏見やプロレスを基本ナメてる(=強さを求めず可愛ければいいと思っている)不誠実な団体関係者やファンとも闘い続けた結果、世界最高峰のプロレス団体・WWEに辿り着くという非常に夢のある話なのであった。キャバクラの同伴客、見る目ありすぎ!

新潮社 週刊新潮
2024年11月7日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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