NHK連続テレビ小説「虎に翼」で主人公を女性初の法曹へと導く恩師のモデルになった法学者、穂積重遠の著書が、90年以上の時を経て復刊された。
「珍しい事件や面白い裁判の噂話」と記す通り、堅苦しい学説とは無縁。「子が親の葬式を出すのは当然の義務だから、葬式費用を賠償する必要はない」といった詭弁(きべん)が、実際の裁判でも主張されたと思うと笑えてくる。
一方でドラマにも登場した、妻の財産に対する夫の管理権の主張を「権利の濫用(らんよう)」と認定した大審院判決も収録。血の通った人間味のある判決に出合える。(河出書房新社・2750円)
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2024年11月3日 掲載
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