消費者のニーズが見えてくる「ニーズ・ファインディング・メソッド」5原則

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「消費者ニーズ」の解像度を高める

『「消費者ニーズ」の解像度を高める』

著者
犬飼 江梨子 [著]
出版社
フォレスト出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784866802923
発売日
2024/11/11
価格
2,420円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】消費者のニーズが見えてくる「ニーズ・ファインディング・メソッド」5原則

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

技術革新により商品やサービスの差別化が困難になり、「コモディティ化」が進む今日。それでも、競争に勝ち抜くためには、自社商品の優位性を確立しなければなりません。この課題に、マーケティングや商品開発に携わる皆さんは日々頭を悩ませていることでしょう。(「はじめに――消費者ニーズの解像度を高める、究極のニーズ発見法」より)

「消費者ニーズ」の解像度を高める』(犬飼江梨子 著、フォレスト出版)の著者はこう指摘しています。

2005年からマーケティングリサーチの現場で活動し、これまで500件以上のプロジェクトで消費者ニーズの発見をサポートしてきたという人物。その過程においては多くの消費者の声を引き出してきたといいますが、そこからわかったのは、多くのクライアントが「消費者ニーズを反映した差別化がうまくできない」ということなのだとか。

情報があふれる現代においては、専門家であっても消費者の本質的なニーズを見つけることは困難なのかもしれません。そこで本書において著者は、独自のメソッドである「ニーズ・ファインディング・メソッド」を用い、消費者の本質的なニーズを見つける方法を解説しているのです。

本書で紹介するメソッドを実践することで、消費者ニーズの理解が飛躍的に向上し、売れる商品コンセプトに落とし込むことができるようになります。

さらに、消費者心理を巧みに活用したコミュニケーション戦略によって、リピーターを増やし、市場での優位性を高めることも可能です。(「はじめに――消費者ニーズの解像度を高める、究極のニーズ発見法」より)

いずれにせよ、まずはニーズ・ファインディング・メソッドについての基本を知りたいところ。そこできょうは第2章「『深層消費者ニーズ』を丸裸にする――『ニーズ・ファインディング・メソッド』の全体像」内の「『ニーズ・ファインディング・メソッド』の5原則」に焦点を当ててみたいと思います。

「ニーズ・ファインディング・メソッド」の5原則

本書の核心部分である「ニーズ・ファインディング・メソッド」とは、顧客の未充足ニーズを掘り起こし、それを視覚的にわかりやすく分析して、“売れるコンセプト”へと落とし込むための方法論

従来のリサーチを使用した結果、「もう新しい発見はない」と感じている方や、それ以前に「リサーチのやり方がわからない」という方も、このメソッドを使えば“新たな発見”が得られるようになるそうです。

なお、このメソッドは5つのステップで構成されているのだと言います。それぞれを確認してみましょう。

【原則1】デプスインサイトクエスチョン

最初の原則である「デプスインサイトクエスチョン」とは、消費者の無意識領域を探り、質の高いニーズを引き出すための質問設計だそう。

一般的なアンケートやインタビューでは表面的な情報しか得られませんが、本書で紹介する4つのデプスインサイトクエスチョンを使えば、消費者の潜在的なニーズを掘り起こすことができます。(51ページより)

具体的には「生活文脈で聞く」「プロセス感情を言語化する」「上位概念を問う」「メタファーを聞く」という4つの設計を導入することによって、競合他社が見逃している重要なインサイトを発見し、差別化された商品やサービスを提供することが可能になるというのです。

【原則2】4セグメント・ブラッシュアップ

ニーズを4つに分類する「4セグメント・ブラッシュアップ」により、消費者ニーズの解像度がさらに上がるようです。

消費者の根源ニーズを「変化・刺激ニーズ」「安定・調和ニーズ」「自己実現ニーズ」「つながりニーズ」に分類することで、それぞれのニーズを持つ人がどのような商品・サービスを求めるのかを明確に理解することができます。(51ページより)

また、出てきたニーズを4分類理論で整理することで、それを“どのような商品を開発するべきか”の指針とすることも可能。この分類を行うことで、ターゲット顧客のニーズに対してより具体的かつ効果的なアプローチが可能になるわけです。

【原則3】ニーズ・ヴィジュアライズ

3番目の原則は「ニーズ・ヴィジュアライズ」です。自社の商品のベネフィットを視覚化し、商品価値構造マップを作成することで、USP(顧客から見た自社商品独自の強み)を明確にする手法です。(52ページより)

ベネフィットを視覚化すれば、競合他社と差別化された独自のUSPを見つけることが可能。このマップを活用することで、顧客視点から見た商品の価値を改めて理解できるので、新たな商品開発やマーケティング対策の立案に役立てることができるわけです。

【原則4】ニーズ・フォーカス・コンセプトメイク

ここで説明されるのは、特定のニーズに焦点を当て、それを売れるコンセプトに翻訳する手法。消費者の未充足ニーズを具体的な商品やサービスのコンセプトに落とし込むことで、顧客にとって魅力的な売れる商品を生み出すことができるということです。

【原則5】販売期待値シミュレート

これは商品コンセプトのスクリーニング・テストであり、「売れるか、売れないか」を「商品購買確度」で調査するステップ。

商品コンセプトのブラッシュアップをしたあとに、市場での受入可能性をシミュレーションすることで、リスクを最小限に抑え、成功の確率を高めることができます。(53ページより)

市場ボリュームを設計したあとは、必要に応じて商品やマーケティング戦略を調整するわけです。(50ページより)

これら5つの原則から構成されるニーズ・ファインディング・メソッドを順に実践することで、顧客の未充足ニーズを的確に捉え、視覚的にわかりやすく分析し、売れるコンセプトに落とし込むことが可能。以後の章ではさらに詳細な解説がなされているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

Source: フォレスト出版

メディアジーン lifehacker
2024年11月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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