各駅停車で行き先も決めずに出かける。適当な街で列車を降り、銭湯でお湯につかってうまい酒をのむ。スケジュールを決めて効率よく回る旅とは対極にある、そんな旅が好きだという画家の著者。
還暦を節目にまとめた本書は、これまでの旅や訪れた銭湯、酒場、料理、心を動かされた景色、出会った人の思い出を味わい深い文章と絵でつづったエッセー集。移住も考えた「まほろば」の甲府、たびたび通う長野・松本、飛騨高山、故郷の福岡・小倉…。
「ふらふらと寄り道やまわり道ばかり」と著者は振り返るが、読めばその足跡をたどりたくなる。(亜紀書房・1760円)

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2024年11月24日 掲載
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