信頼される人は、質問力に長けている。そのヒントは「絵訳」にあり

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いつも信頼される人がやっている「たったひと言」の質問力

『いつも信頼される人がやっている「たったひと言」の質問力』

著者
坂本 聰 [著]
出版社
ソシム
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784802614726
発売日
2024/11/05
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】信頼される人は、質問力に長けている。そのヒントは「絵訳」にあり

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「いつも信頼される人」になるのは難しいもの――。

豊富な知識や誠実な行動、頭のよさ、気配りなど、さまざまな能力を身につける必要がありそうだからこそ、そう感じてしまいたくなるのかもしれません。

しかし、『いつも信頼される人がやっている「たったひと言」の質問力』(坂本 聰 著、ソシム)の著者によれば、いまの自分のまま、信頼される人になる方法があるようです。重要なポイントは、「質問力」を磨くことだそう。

知識や語彙力がなかったとしても問題はなく、むしろ変に知識がないほうが、発することばは“純粋な質問”になるため会話は発展しやすいというのです。

たとえば「私は犬より猫が好きです」と伝えたとしたら、多くの場合は2つの反応があるといいます。

A「『イヌ』よりも『ネコ』が好きなんだね?」

B「猫といってもいろんな種類がいるけど、どんな猫が好きなの?」

(41ページより)

前者は、たいした興味もないという人の返答。対する後者は、「どんな猫を想像しているのだろう?」と、情景を思い浮かべたからこそできた質問であるため、より信頼を得られる返答だということになります。

つまり、わからない部分をはっきりさせる質問ができれば、正しく理解でき、信頼されるようになるということ。

そして、その際の重要なポイントは「絵訳」をすることなのだそうです。この点についての基本的な考え方を確認するため、第1章「『信頼される質問』をつくる絵訳とは?」に焦点を当ててみましょう。

会話は「イメージ」するとうまくいく

「とりあえず手をつけてから考えよう」と中途半端な理解のままでスタートすれば、周囲の期待を裏切ることになってしまうかもしれません。しかし、「わからない部分を質問し、正しく理解しよう」というスタンスで臨めば、結果的には信頼されるようになるでしょう。

そして、「わからないこと」を発見して自覚するためには、「絵訳」が役立つのだといいます。

著者によれば絵訳とは、「頭のなかで、聞いている内容をイメージ化する技術」。もともとは、「見聞きすることをイメージ化しながら、足りない情報を発見・確認・質問することによって、自分自身の言葉で説明できるレベルにまで理解を深める技術」だったそうですが、そういった過程はコミュニケーションにも役立つというのです。

なお、絵訳の効果は次の3つ。

聞いた事実を頭の中で絵としてイメージする(イメージ化)

わからない部分を、きちんと質問できる(質問化)

質問することで、理解が深まる(理解)

(55ページより)

たいしたことではないようにも思えますが、多くの「信頼されている人」は、物事を理解する過程で絵訳をし、質問を介しつつ相手からの信頼を得ているというのです。(52ページより)

信頼される人は頭のなかでこう考えている

絵訳に「質問力と理解力が上がる」という効果があることを体感してもらおうと、著者は簡単な2つのクイズを提示しています。

まずは、「犬のような4本足の動物」を絵にするとどうなるかという問い。こう聞かれれば、柴犬のような短毛種を想像する人も、チャウチャウのような長毛種を想像する人もいることでしょう。あるいは大型犬を想像したり、小型犬を想像する方もいらっしゃるかもしれません。

このとき、「犬といっても、どの犬種だろう?」「毛の長さはどのくらいだろう?」「大きさはどのくらいだろう?」と疑問を持てたでしょうか。

言葉で考えているうちは難しいと思いますが、それを「絵にしてほしい」と言われた途端に、想像は一気に膨らむと思います。イメージを固めようとすればするほど、曖昧な箇所が浮き彫りになってきて、それが疑問・質問として湧いてくるのではないでしょうか。

これが、絵訳による「質問を生み出す」効果です。(67〜68ページより)

また、「自分がなにを想像できるか」だけでなく、「自分とは異なる想像がある可能性」まで考えられることも大切だといいます。

もうひとつは、「幹にふしが3つある、葉っぱのふさふさとした木」を絵にするとしたらどうなるかという質問。

このとき、「葉っぱのふさふさした木」という箇所は、あまり想像に差は出ないでしょう。しかし前半の「幹にふしが3つある」については、「ふしってなんだっけ?」と思われるかもしれません。

人はイメージできない言葉、描くことができない内容に出会うと、無意識のうちに、「なんだっけ?」と疑問を思い浮かべるのです。

絵としてイメージしようと思うと、このような「知らない言葉」に引っかかりやすくなります。逆に、言葉だけで考えていると、「ふし」なんて気にせず読み飛ばしてしまうのです。(70ページより)

さらにもうひとつ、大切なポイントがあるようです。

「ふし」がわからない言葉として浮かんだとき、イメージはどうなっていたでしょうか。黒塗りになっていませんか? そう、知らない言葉は、イメージの中で黒塗りなのです(人によっては、真っ白だったり、灰色だったりするかもしれません)。(71ページより)

つまり、これが「わからない」を見つけること。この「わからない」にうまく引っかかれば、自然とそれが質問として浮かび上がってくる。だからこそ、絵訳が重要な意味を持つということです。(66ページより)

本書で紹介されているメソッドは、やり方さえ知っていれば誰にでも実現できると著者は断言しています。複雑なテクニックを身につける必要もなく、いままでの習慣にちょっとした工夫をすればいいだけでOK。「信頼される人」になるために、参考にしてみてはいかがでしょうか。

Source: ソシム

メディアジーン lifehacker
2024年12月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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