『カルトのことば なぜ人は魅了され、狂信してしまうのか』アマンダ・モンテル著

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カルトのことば

『カルトのことば』

著者
アマンダ・モンテル [著、企画・原案]/青木音 [訳]
出版社
白揚社
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784826902632
発売日
2024/10/18
価格
2,640円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『カルトのことば なぜ人は魅了され、狂信してしまうのか』アマンダ・モンテル著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 「教祖とその熱狂的信者の話になると、私たちは目をそらすことができないらしい」

 著者が記しているとおり、私たちはカルトを恐れながらも興味を抱いている(この「教祖」は「カルトの源になるもの」というくらいの幅広い意味だ)。私たちは、自分だって何かの拍子に「熱狂的信者」になってしまうかもしれないと用心しつつ、でも実際にそうなってしまう人には(自分とは違って)何かしらの隙があるのだろうと思いたがっている。本書は、そんな私たちをくすぐるカルト特有の言葉(他では聞いたことがない異言)や言い回しに焦点をあてたカルト分析だ。

 信者の大量死を引き起こしたガイアナの人民寺院、ハリウッドスターにも信者がいることで知られるサイエントロジー、SNSでますます広がる各種のマルチ商法など、多くの実例が挙げられている。「あなたは選ばれた」「あなたの人生を変える」「#ボスベイブになりたい?」などの言葉は安いドラマの台詞(せりふ)みたいだが、これが大真面目に効いてしまう瞬間があるというのが、何よりも恐ろしい。青木音訳。(白揚社、2640円)

読売新聞
2024年12月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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