『うまく「聞ける人」と「聞けていない人」の習慣』
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【毎日書評】あなたは人の話をきちんと聞けているか?コミュニケーション上手の聞き方の習慣
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
ビジネスに欠かすことのできない「会話」においては、どうしても話す側にばかり焦点が当てられるもの。会話の主導権を握っているのも、会話の場で目立つのも話し手なのですから、それは無理のないことかもしれません。
しかし『うまく「聞ける人」と「聞けていない人」の習慣』(山本衣奈子 著、明日香出版社)の著者は、いざ話すとなったとき、話し手は思っている以上に聞き手からの影響を受けているものだと指摘しています。
講師として20年以上にわたり、さまざまな企業や団体向けにコミュニケーションに関する講演・研修を行ってきたという人物。具体的には、よりよりコミュニケーションの実現のために、“伝える”“聞く”力の磨き方を伝えているのだとか。注目すべきは、そういった実績に基づいた以下の主張です。
話し手がどれだけ濃く話すかは、実は聞き手次第なのです。
聞き手のあり方が、話し手の話し方を変えると言えます。
話し手が気持ちよく話せるのは、話し手のスキルが高いからというより、相手がとてもよい聞き手であるからなのです。(「はじめに」より)
にもかかわらず、ともすれば「話し方」や「伝え方」にばかり焦点が当てられがち。そのため、本来であれば注目されてしかるべき「聞き方」は後回しにされてしまうのです。
そこで著者は、“円滑な人間関係を育み、コミュニケーションを楽しんでいる人たちがしている「聞き方」の習慣”をまとめているわけです。
表面上のテクニックだけではなかなかうまくいかないことも、土台となる考え方を見直すと大きく変わることがたくさんあります。納得して実践していただけるよう、根拠や具体例なども盛り込みました。(「はじめに」より)
そんな本書の第1章「聞き方の基本」のなかから、2つのトピックスをピックアップしてみましょう。
うまく聞ける人は「聞くこと」を大切にし、聞けていない人は「話すこと」を大切にする
息を吐くためには、まず吸うことが必要です。
会話も呼吸と同じで、吐く(話す)ことと、吸う(聞く)ことを繰り返して成立します。つまり、きちんと話すためには、まずしっかり聞くことが大切です。(20ページより)
会話が空回りしてしまう人の共通点は、「相手の話が聞けていない」ということだそう。自分のいいたいことを考えるだけで頭がいっぱいになり、相手を無視してひとりで突っ走ってしまうというのです。
しかしそれでは、どれだけ“話し方”がうまくても、相手はついてこられなくなってしまいます。
一方、うまく話せる人は、相手の気持ちを汲みながら、共感が生まれるように話せるもの。逆にいえば、相手の話をきちんと聞かずに、相手の気持ちを汲むことなど不可能であるわけです。
だからこそ、うまく聞ける人は、話すこと以上に聞くことを大切にしているというのです。相手に寄り添う姿勢が距離感を縮めるため、気持ちのいいコミュニケーションが可能になるということなのでしょう。
そう考えると、「聞く」ことによって受け取りたいのは、言葉以上に心だといえます。
私はこれを、「言葉を聞く」ではなく「心を開く」と表現しています。相手の言葉の少し奥に手を伸ばすようなイメージです。(21〜22ページより)
たとえば相手が「これはあまり好きじゃない」といったとしたら、そのまま受け取るだけでなく、「なぜ“嫌い”ではなく“好きじゃない”といったのだろう」というように、もう一歩踏み込んで考えてみる。すなわちそれは、“興味を持つ”ということです。
興味が持てれば相手の話をもっと聞きたくなり、態度に表れるもの。すると相手もこちらに興味が湧いて、「話を聞いてみたい」と思うようになるわけです。(20ページより)
うまく聞ける人は聞いてもらったことを忘れず、聞けていない人はただ話を聞いてもらいたがる
人は基本的に「話すことが好き」なもの。だからこそ、自分の話を聞いてもらいたいのであれば、相手の話をきちんと聞くことが大切なのです。自分がちゃんと聞くからこそ、相手にもちゃんと聞いてもらうことができるということ。
その前提を踏まえて、うまく聞ける人は、自分の話をしながらも、相手の話を聞く姿勢を大事にしています。
さらに聞ける人はそれだけでなく、自分がそれを実践し、聞くことの価値を感じているからこそ、たとえひとときでも相手に聞いてもらったことをも忘れずにいます。
相手が聞いてくれたこと、受け止めてくれたことへの感謝を自らの聞く姿勢に反映させ、より丁寧に聞いていくのです。(33ページより)
逆に聞けていない人は、相手にしてもらったことは忘れ、自分がしてあげたことばかり覚えていることが多いようです。それどころか、自分が聞きたくないことばやアドバイスには拒否反応を示してしまうことも。そのため、意図せずして居心地の悪い雰囲気を生み出してしまうのでしょう。
コミュニケーションは持ちつ持たれつで成り立つものです。
優劣で行うものでも、どちらか一方の強制力や我慢の上に成立するものでもありません。「こちらが聞くから相手も聞く」「こちらが話すから相手も話す」、そのバランスが心地よくとれているときに、コミュニケーションを通してよい関係が生まれていきます。(34ページより)
自分の話もしっかり話してくれるし、こちらの話もきちんと聞こうとしてくれる――。そういった姿勢が伝わってくるからこそ、自分もそうしようと自然に思えるということ。そしてその結果、無理のない、対等な関係を続けることができるようになるわけです。(32ページより)
コミュニケーションにおいては、「ちゃんと聞いているか」ということ以上に「きちんと聞けているか」が重要だと著者は述べています。その点を踏まえながら、現時点での「聞く力」を「聞ける力」へと高め、よりよい人づきあいを実現させていきたいものです。
Source: 明日香出版社


























