難しい敬語を「慣れ」で身につける4つの実践テクニック

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入社1年目から好かれる人の敬語・話し方のビジネスマナー

『入社1年目から好かれる人の敬語・話し方のビジネスマナー』

著者
髙田将代 [著]
出版社
SBクリエイティブ
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784815628239
発売日
2024/12/20
価格
1,595円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】難しい敬語を「慣れ」で身につける4つの実践テクニック

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

タイトルからもわかるように、『入社1年目から好かれる人の敬語・話し方のビジネスマナー』(高田将代 著、SBクリエイティブ)はおもに若いビジネスパーソンをターゲットにした書籍。

とはいえ扱っているのはビジネスマナーなので、どの年齢層にも当てはまる内容だといえます。

なにしろ、誰とも会話をすることなく仕事を進めたり、人間関係を築くことはできないのですから。逆にいえば、言葉遣いに自信が持てれば、より正確に自分の意思や考えを堂々と伝えられるようになるわけです。

ですからまずは、基本的な敬語の使い方を徹底して覚えましょう。

言葉遣いは「信頼」に値します。

また、言葉遣いだけでなく、どのように話すかということもとても大切です。

同じ言葉でも話し方によって、印象や伝わり方が変わります。話し方を磨くことでコミュニケーションの質はより高まるのです。

言葉遣いと話し方、この2つを合わせることで信頼関係が深まり、円滑なコミュニケーションがとれるようになり、よりよい人間関係を築くことができます。(「はじめに」より)

だとすれば、どうすれば言葉遣いや話し方を身につけられるのかが気になるのではないでしょうか。マナーコンサルタントである著者はこの問いに対し、「言葉遣いは筋トレと同じ」だと答えています。

きちんとした言葉遣いを知る、覚える、使うというサイクルを繰り返すことで、必ず身につくというのです。つまり、言葉遣いは口にしたぶんだけ磨かれていくということ。端的にいえば「慣れ」なので、できない人はいないということです。とかく難しく考えてしまいがちですが、たしかにそのとおりかもしれません。

こうした考え方を軸とした本書のなかから、きょうは第2章「好かれる人になるための『敬語』の使い方」に注目してみたいと思います。

敬語で重要なのは「伝えようとする姿勢」

「敬語」と聞くと「堅苦しいもの」「使い分けが難しい」など、とかくネガティブに考えてしまいがちかもしれません。しかし、最初から完璧に話そうとする必要はないのだと著者は強調しています。それより、敬語を通して相手に敬う気持ちを伝えようとする姿勢が大切だということです。

どんなに流暢な敬語を使っていても、心がこもっていなければ、相手は感じ取ります。顔の見えない電話であればなおさらです。

逆に、たとえ言葉遣いが間違っていても、相手を尊重する気持ちや大切に思う心があれば、それが伝わり、相手もあなたのことを大切にしたくなるのです。

人は自分のことを大切にしてくれる人に好感を持ちます。言葉はいわば、気持ちを載せる「器」のようなもの。ですから、気持ちが載っていなければ響かないのです。(61ページより)

だからこそまず大切なのは、積極的に敬語を使っていくこと。もちろん正しい用法であるに越したことはありませんが、仮に多少間違えたとしても気にする必要はなし。一生懸命に敬語を使って話そうとする姿勢があれば、相手は周囲からは好感を持ってもらえるのです。(60ページより)

敬語は何度も口にして自分のものにする

もちろん敬語に限ったことではありませんが、言葉遣いは「慣れ」が大切。著者も、そのことを実感する機会が多いようです。

研修で、「『話す』の尊敬語は何ですか? 資料に書き込んでください」とお伝えすると、多くの人は正しい回答を書き込むことができます。

ですが、ロールプレイングで実際に口にする場面となると、なかなか難しいようです。頭ではわかっていても、言い慣れていないと、口にすることができないのです。(63ページより)

敬語を筆頭とする言葉遣いを磨くには、日々のトレーニングが重要。先に触れたように筋トレのようなものなので、毎日少しずつ練習していくことで身につくわけです。

そこで著者は、簡単にできるトレーニング法を紹介しています。

言葉遣いのきれいな人と話す機会をつくる

職場に敬語をきちんと話せる先輩や上司がいたら、その人と話す時間を積極的に設けるべき。少し会話するだけでも参考になりますし、その人に合わせた言葉遣いをしようと心がけると習得が早くなるはず。また、話し方の経験値も上がるため、早く敬語が話せるようになれそうです。

“推し”の人を見つけて真似をする

職場以外でも、「言葉遣いがきれいだな」と感じられる人を見つけたら、その人の話し方をとにかく聞くべき。知り合いでなく、たとえばアナウンサーや俳優でもいいそうです。まずは、ラジオや音声メディアなどを通じてそういう人の話し方に耳を澄ませる。そして、「いいな」と感じる話し方を真似してみる――そうすることで、きれいな言葉遣いが自然と身につくわけです。

美しい言葉を使っている本を読む

美しい言葉を使っている小説を読んだり、映画を観たりすることも有効。

特に明治〜昭和にかけて出版された本には、きれいな言葉遣いのものが多いですよね。自分の日常では使わないような表現も、こういうシーンで使えるのだと本を通して学ぶことができます。谷崎潤一郎さん、川端康成さん、向田邦子さん、宮尾登美子さんの本などがおすすめです。(65ページより)

外出先でていねいに話しかける

ことばは、使って初めて自分のものになるもの。敬語にまだまだ不安があるという人には、デパートやショップで働く店員さんに話しかけることを著者はすすめています。たしかにこちらはお客の立場ですし、相手は知らない人なのですから、多少間違えてしまったとしても問題はないはず。「〇〇〇〇を見せていただけますか?」などとていねいに尋ねてみるだけでも練習になるわけです。

大切なのは、きれいなことばを何度も聞いて耳慣れし、口にして慣れること。よく耳にすることばは、自然と口から出るものです。また、単語で覚えるよりもシーンで覚えるほうが、とりスムーズに使えるようになるといいます。そういうことも含め、言葉遣いは「慣れ」だということです。(63ページより)

「敬語は難しい。でも、自信を持って使いこなせるようになりたい」という方のために書かれたという一冊。仕事の基本となる敬語と話し方が、ていねいにわかりやすく紹介されているので、なにかと役立ってくれるはずです。

Source: SBクリエイティブ

メディアジーン lifehacker
2025年2月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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