『ひのえうま』
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『ひのえうま』吉川徹著
[レビュアー] 産経新聞社
60年に一度の丙午(ひのえうま)に当たる昭和41年、丙午生まれの女性にまつわる迷信のため、日本でだけ極端な出生減が起きた。本書は迷信の始まりから現代までをたどり、昭和の丙午の出生減を社会現象として読み解く。前年からマスメディアが迷信について盛んに報道。多くは迷信を否定していたが、大騒動に。寿命が延び、明治の丙午女性が縁付かなかった例を記憶している人々がいたことや、戦後の受胎調節指導の影響も指摘している。
騒動は大きかったが、婚姻を巡る不利益はなかったとデータから言えるという。著者が来年の丙午に同じ現象が起きないとみる理由が興味深い。(光文社新書・990円)