『決定版 強いチームをつくる! リーダーの心得』
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【毎日書評】スムーズに部下の警戒心を解く「すぐれたリーダー」がやっているコツ
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『決定版 強いチームをつくる! リーダーの心得』(伊庭正康 著、明日香出版社)の著者は、25歳で営業リーダーに抜擢され、35歳で部長になり、37歳で関連会社の代表になったという実績の持ち主。
いかにも順風満帆に突き進んできた印象がありますが、必ずしもそうとはいい切れないようです。その証拠に、20代のころにはリーダーの資質などまったくなかったと当時を振り返ってもいます。
しかしそののち、部下と接するなかで自分のリーダーとしての資質のなさを実感したのだといいます。そして、そのときから「自分がいいリーダーになれれば、部下がいきいきと働くようになるかもしれない。リーダーに本気で挑戦したい」と考えるようになったのだとか。
独立した現在は、多くのリーディングカンパニーでリーダーの研修を行い、自身がつかんだセオリーを紹介しているそう。いまなおそのセオリーの効果を強く確信し、「リーダーに向いているかどうかなどは関係ない」と思っているのだといいます。
つくづく思うのですが、リーダーは完璧ではなくてもいいのです。たとえ自分より優秀な部下がいたとしても気にすることはありません。
なぜならリーダーは、小学校で言うところの「生き物係」などの係、つまり役割にすぎないからです。
「生き物係」にやるべきことやルールがあるように、すぐれたリーダーシップを発揮するためのルールやセオリー、そしてちょっとしたコツのようなものがあります。
それらをつかんで実践していけば、すぐれたリーダーとしての役割を全うすることができるのです。(「はじめに」より)
したがって、現時点でうまくいっていなかったとしても、自分の資質を責める必要はないということ。そして、そうした考え方を軸として、「リーダーとしてなにをすればいいのか」がわからず悩んでいる人に向けて本書は書かれているわけです。
きょうは第2章「すぐれたリーダーになれる『最短距離の歩き方』」のなかから、2つのトピックスを抜き出してみたいと思います。
超速で「部下の警戒心」を溶かす
はじめてリーダーになる人、とくに若くして抜擢された人は、必ずといっていいほど“部下の信頼を得る難しさ”に直面するもの。なかでも、やり手のベテランが部下になるときほどその傾向が強いそうです。ときには関係がギクシャクしたり、抵抗されることすらあるかもしれません。
しかし、それも当然の話。つまり、部下に警戒されているからこそそうなってしまうわけです。部下からすれば、リーダーが変わることは事件と同じ。しかもリーダーは「評価者」なので、警戒されて当然だということです。
とはいえプロセスを知っておけば、焦る必要はないようです。「警戒」を「信頼」に変えるためには、以下の5つのプロセスを踏めばいいというのです。
1:「警戒」(居心地を悪くされるのでは)
↓
2:「疑い」(わかってくれているのか)
↓
3:「親和」(お、やりやすいかも)
↓
4:「信用」(わかってくれる人だ)
↓
5:「信頼」(この人いいじゃん)
(55ページより)
ただし、警戒心を説くためには最初の1か月が勝負となるようです。すぐれたリーダーになるためには、絶対に1か月で警戒心を解かなければならないということ。周囲の人はせっかちなので、ここに時間をかけすぎてしまうと「うまくいっていない」と評価されてしまうわけです。
そこで、自分から部下に歩み寄って雑談を重ねてほしいと著者は述べています。たとえば「空調、暑くない?」「きのう、サッカー見た?」というように。
はじめは職場で仕事以外の会話をすることに抵抗があるかもしれません。でも、会話の量を増やすことは、悪化した人間関係を修復する定番のセオリーであり、優秀なリーダーが積極的に活用している隠しレシピです。我々が、この隠しレシピを使わない手はありません。(57ページより)
重要なポイントは、「警戒心を解くためには、最初の1か月が勝負」であるという点。自分が部下であったときのことを考えてみれば、よく理解できることではないでしょうか。(54ページより)
心をわしづかみにする「ほめ方」と「叱り方」
もしかしたら部下は、上司が思っている以上に“息切れ”をしているかもしれない――。著者はそう指摘しています。だからこそリーダーは、部下が給与や職場に不満を感じていたとき、なんとしてでも部下を元気にしないといけないのだとも。
ここでは、部下が元気になる魔法を紹介します。とても簡単です。
部下の「心がけ」に感謝するのです。たとえば、こうなります。
「山本さん、他社の事例を添えてくれたんだ。その心配り、助かります。ありがとう」
「高田さん、挨拶の声が元気でいいね。職場が明るくなるよ。ありがとう!」(54ページより)
実際のところ、多くのリーダーはそれほどまでに感謝をしないものだと著者はいいます。しかし一流のリーダーを目指すのであれば、照れることなく、部下の「心がけ」に感謝を示すべきだということです。
ところでリーダーである以上、ときには叱ることも大切です。怒ってばかりでは嫌われてしまうでしょうが、部下のことを大切に考えているのなら、叱るべきときには叱らなければならないわけです。
ただし、叱り方にはルールがあります。叱るのは出来事にとどめること。
絶対に「能力」「人格」を叱ってはなりません。(54ページより
感情がたかぶってしまうと、自分でも気づかないうちに能力や人格までを否定しそうになってしまうかもしれません。しかし、それでは逆効果。あくまで、叱る必要性につながった「出来事」にとどめるべきだということです。(58ページより)
営業職に就いてきた著者の経験に基づいているため、基本的には営業リーダーの話が中心。とはいえ、ここで紹介されているさまざまなセオリーは、どんな職種のリーダーにも共通するものでもあります。そのため、自分の職種にあてはめながら考えてみれば、多くの気づきが得られるはずです。
Source: 明日香出版社


























