「この仕事、意味ある?」と悩んだら…会社のしくみを知ってうまく働くコツ

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上手に働く人の社内コミュニケーション  結局、会社は思うように動かない。

『上手に働く人の社内コミュニケーション  結局、会社は思うように動かない。』

著者
下地 寛也 [著]
出版社
総合法令出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784862809827
発売日
2025/02/12
価格
1,760円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】「この仕事、意味ある?」と悩んだら…会社のしくみを知ってうまく働くコツ

[レビュアー] ライフハッカー・ジャパン編集部

仕事をうまくやっていきたいと思うのであれば、コミュニケーションスキルなどのテクニックを磨くのではなく、まず、自分が今いる「会社」という組織がどのようなアルゴリズム(法則、考え方)で動いているのかを理解することから始めるべきです。(「はじめに――戦う土俵をまず知ろう」より)

結局、会社は思うように動かない。 上手に働く人の社内コミュニケーション』(下地寛也 著、総合法令出版)の著者はこう断言しています。さまざまな問題を打開するためのスキルをどれだけ身につけたとしても、会社のアルゴリズムを知らなければ、その効果を最大限に発揮することはできないというのです。

たしかに、「時間を守る」「報連相を行う」といった基本的なルールはどの会社であっても変わりません。そしてそれらは、社会人として身につけるべきビジネスマナーとして先輩から教われるものでもあります。しかし、誰からも教わる機会のない“暗黙のルール”を知る機会は限られています。

会社で働くとはどういうことか、なぜ仕事にやりがいが感じられないのか、一向に変わる気配のない組織風土とどのように向き合えばいいのか……。

ビジネスマナーが技だとしたら、これらは根っこです。自分から知ろうと思わなければ根っこの形を理解することはできません。いわばこの本は、そうした誰も教えてくれないけど働くうえで絶対に知っておきたいことを一冊にまとめた裏のルールブックです。(「はじめに――戦う土俵をまず知ろう」より)

著者はコクヨ株式会社の「ワークスタイルコンサルタント」。さまざまな業務に携わるなかで“組織は思うようには動いてくれない”ことを痛感した経験を活かしつつ、現在はコクヨグループの働き方改革や風土改革に取り組んでいるのだとか。

つまり本書は、そうしたプロセスのなかから生まれたものだということです。きょうはそのなかから、第1章「会社のアルゴリズムを理解する」に焦点を当ててみたいと思います。

仕事の本質は問題解決

仕事の本質をひとことで表すとすれば、「問題解決」だと著者は述べています。つまり、どんな会社もなんらかの「問題」を解決することで価値を提供し、利益を得ているということ。

「歩くと時間がかかる」という問題は自動車が解決しました。

「現金の持ち運びが不便」という問題はクレジットカードが解決しました。

「暇な時間をどう過ごすか」という問題は映画やコンサートが解決しました。

(61ページより)

他にもいろいろありますが、つまり会社という組織は「顧客の問題を見つけ、それを解決すること」によって新しい価値を提供し、利益を得ているということです。

ところで会社には大きく分けて、ライン部門(戦略、開発、製造、マーケティング、物流、販売など、直接的に価値を生み出す役割)とスタッフ部門(人事、総務、経理、広報、情報システム、リスクマネジメントなど、間接的にライン部門を支える役割)の2つが存在します。

日ごろ意識することはなくても、誰もがどちらかの部門に属し、なんらかの形で会社の問題解決に貢献しているわけです。

ところが、会社というのは大きな装置です。全社で顧客の問題解決に取り組むべきなのに、ほかの部門の人が何をやっているのか知らないということがよくあります。これが社内コミュニケーションの妨げにもなります。

問題解決を効果的に進めるためには、部門を超えた視点を持つ必要があります。(62ページより)

たとえば、ライン部門は前後の工程を担う人がなにを考えているのか理解する、開発は営業の苦労を、営業は開発の思いを知るなど。そうすることで、よりよい価値提供ができるようになるわけです。(60ページより)

おもしろい仕事は20%あればいい

日本人の仕事に対する満足度が、諸外国とくらべて低いというのは有名な話です。

パーソル総合研究所の調査によると、日本人の「幸福感(はたらく幸せ実感)」は49.1%で、調査18ヵ国中最下位という結果が出ています。(中略)ただし「不幸感(はたらく不幸せ実感)」は18.4%で、こちらは18ヵ国中15位と良好な数字です。このことからわかるのは、働いていても幸せではないが、かといって特別不幸でもない人が多いということです。(65ページより)

そこで著者が提案しているのは、「おもしろい仕事」「どちらでもない仕事」「おもしろくない仕事」を20:60:20の割合で捉えること。60%は「どちらでもない仕事」で、20%は「おもしろくない仕事」であったとしても、「おもしろい仕事」が20%程度あればそれなりにやりがいを感じ、満足できるのではないかという考え方です。

上司は、これらの仕事をメンバーに割り振る必要があります。そのため、全員にやりがいのあるおもしろい仕事を充分に与えられるわけではありません。むしろ上司が悩むのは、「誰にとってもおもしろくない仕事」をどう割り当てるか。そして、「どちらでもない仕事」をいかに能力や性格的に向いている人に担当してもらうかにも心を砕いているわけです。

したがって、いまの仕事に20%程度の「おもしろい仕事」がないのなら、「もっと挑戦できる仕事を与えてほしい」と相談してみるのもいいかもしれません。

次に考えてほしいのが60%の「どちらでもない仕事」についてです。この仕事に対してどのように取り組むかによって、やりがいは大きく変わってきます。

自分なりに考え、その仕事を改善したり工夫を加えることができれば楽しくなります。すると、20%しかなかった面白い仕事を80%まで拡大することができます。(67ページより)

そして残り20%の「おもしろくない仕事」は、ササっと流してしまうべき。ときには「なぜ自分がこの仕事をしなければいけないのか」と思いたくもなるでしょうが、誰もがそういった仕事を多少なりとも分担しているのですから。

つまりはこのように、「仕事のおもしろさ」は自分の考え方次第でコントロールできるものだということです。(64ページより)

自分以外の人をコントロールしようとすることは、現実的になかなか困難。そこで、“相手は変えられないけれど、自分は変えられる”という前提に立って行動するべき。そうした考え方に基づく本書は、会社という組織とうまくつきあっていくために役立ってくれそうです。

Source: 総合法令出版

メディアジーン lifehacker
2025年3月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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