『生き続ける震災遺構』
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『生き続ける震災遺構』坂口奈央著
[レビュアー] 産経新聞社
著者は岩手県の民放アナウンサー兼記者として東日本大震災を取材、その後に災害社会学者に転じた。三陸地方での10年超の調査から津波で変貌した建物など「震災遺構」に住民がどのような意味を見いだしてきたかを考察した。
大震災後に防災教育などへの利用から研究者らが保存を主張して「震災遺構」という言葉が広まったが、被災地では変わり果てた建物の保存か解体かで葛藤。住民が津波に耐えた樹木などに「おらほ(私たち)の遺構」と思いを寄せる一方、今では訪れなくなった遺構もあるという。大震災14年を機に遺構について改めて考える。(ナカニシヤ出版・3960円)