『南フランス 猫と旅する美しい村』
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『南フランス猫と旅する美しい村』平野由希子著
[レビュアー] 金沢百枝(美術史家・多摩美術大教授)
猫がいると旅ができない。預けると、旅先で恋しくなる。本書は、旅好きの愛猫家が抱えるそんなジレンマに希望を与えてくれる一冊。著者はフランスで修行した料理家。国内旅行には慣れっこのビビらない黒猫を連れての南仏滞在を決意する。
しかし、猫の渡航には問題が立ちはだかる。マイクロチップの埋め込みや狂犬病の予防注射など検疫を通過するための入念な準備はなかなか煩(はん)瑣(さ)だ。そもそも、猫を飛行機の客室に連れてゆけるのか(航空会社一覧あり)。機内で猫がトイレをしたくなったら……(猫砂バッグなるものあり!)。ご飯は例の猫大好き液状おやつならば小分けなので、機内持ち込み可など実用的な情報満載だ。
イスタンブールでの乗り継ぎついでにカフェでの朝食を猫とたのしみ、フランスの小村では村人とふれあいながら、猫とのびのび暮らす。南仏の風景と料理が旅心を誘う。
レシピつきなのも嬉(うれ)しい。夏になったら、さやいんげんのサラダと、無(い)花(ちじ)果(く)の葉でつくるお酒をためしてみようか。(産業編集センター、2090円)