『10万人以上を指導した中学受験塾 SAPIXだから知っている算数のできる子が家でやっていること』
- 著者
- 佐藤智 [著]
- 出版社
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- ジャンル
- 社会科学/教育
- ISBN
- 9784799331026
- 発売日
- 2024/11/22
- 価格
- 1,760円(税込)
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【最新】中学受験「算数」は2025年こう変わった! SAPIXへの徹底取材で見えてきた「3つの傾向」と対策
2025年の算数はここが違う! SAPIXが語る最新の傾向と対策
年度の切り替えのこの時期、中学受験に向かっていくか迷うご家庭も増えてくるタイミングではないでしょうか。
2025年の中学入試を終え、現在、それぞれの塾が各学校の入試問題の分析を進めています。
苦手意識を持つ子も少なくない算数では、どのような出題傾向が見えたのでしょうか。また、どんな対策が必要なのでしょうか。
教育ライターで『10万人以上を指導した中学受験塾 SAPIXだから知っている算数のできる子が家でやっていること』の著者・佐藤智さんによる、サピックス小学部算数担当の広野雅明先生への徹底取材から、最新の傾向を探りました。
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今年度の中学入試算数の出題傾向3つのポイント
佐藤:年々、難度が上がっているといわれている中学入試の算数ですが今年度の問題を分析した結果、どのような傾向が見えてきましたか?
広野:一言でいうと、公式や解法の丸暗記のような勉強では太刀打ちできないような問題が増加しました。小学校で習う算数の範囲から出題されることは間違いないので典型的な問題をベースにはしつつも、各校でそれぞれ味付けがなされ、複雑になっています。なかでも、大きく3つの傾向が挙げられます。
1つ目が、煩雑な計算を要して、答えもすっきりと出ない問題が増えたということ。いわゆる、“答えの数値が汚い”問題も出題されます。計算をしていた結果、すっきり割り切れない分数が答えとして出ると、子どもは「本当にこれであっているのかな?」と不安になりますよね。
2つ目は、立方体を2回切断するなど、複雑な条件設定になった問題が出てきていること。これまでも、図形の問題で立体を1回切ってその断面図について解く問題は出題されてきましたが、そこからもう1段階踏み込んで考える必要が出てきています。
3つ目は、とにかく問題文が長くなっているということです。これは算数だけの特徴ではありませんが、小学生にとっては読みこなすだけでも至難の業という長文が出されています。また、表やグラフなども併せて提示された場合には、その分析もしなければいけません。大前提として、長い文章を読みこなせる力が必要になっています。
【対策1】複雑な計算問題を解いていくために必要なこととは?
佐藤:1つ目の特徴である、“答えの数値が汚い”ような計算問題を解いていくために必要な学びとはどういったことでしょう?
広野:日頃からすっきりときれいな答えになる問題ばかりを解いていると、入試問題で割り切れない分数が答えだと不安になってしまいます。「どこかで計算を間違えているから割り切れないのではないか……」と思えてくるのです。
この不安を払拭するためには、計算力を、自信を持てるまでつけておくことが大事です。動揺しないための計算力をつける、それが目標になります。
また、これは6年生の段階での話になりますが、学校によって出題傾向があるので、過去問を解くことで、同じようにすっきりしない答えの問題が出てくることを体感的に学びます。それを経験していると、入試の際も子どもたちは「なるほど、すっきりしない答えの問題がまた出てきたな!」と不安にならずにいられます。