『文化系のための野球入門』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『文化系のための野球入門』中野慧著
[レビュアー] 産経新聞社
米メジャーリーグで活躍する日本人選手のニュースが毎日のように速報される一方で、ネット上には過熱する野球報道を「ハラスメント」と冷ややかにとらえる向きもある。現代日本でなぜ野球だけが特権的な地位にあるのか、球史をたどりながら分析した一冊だ。
草創期には「エンジョイ・ベースボール」を旨としていた日本野球は、エリートの集う旧制一高でバンカラ文化と結びつき、武道的な精神性や勝利至上主義などを併せ持つ総合的エンターテインメントと化していく。ステレオタイプな体育会系批判を脱して、日本の野球文化を見つめ直した意欲作。(光文社新書・1144円)