ピアニストの鈴木尚美は、ショッピングモールでの演奏を毎回聴きにくる風変わりな男が気になっていた。男の名は松崎仁。有能な物理学者だが、なぜか人を3メートル以内に近づかせない。
事故で脳に強い磁場ができ、近づく人に危害を及ぼすという。そして自分は死ぬつもりだとも。「唯一のファン」である松崎の命を救うため、尚美は奔走する。
米国人で、日本文学博士号を持ち、ミネソタ大で日本語講師を務める著者が日本語で書き下ろした恋愛小説。タッチレス(非接触)であっても、次第に心の距離を縮める2人を丁寧に描いた世界は癖になりそう。(祥伝社・1870円)

-
2025年3月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
