報連相を変えるだけ「ロジカル思考」を簡単に使いこなすコツ

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仕事ができる人は4つのことだけを考える

『仕事ができる人は4つのことだけを考える』

著者
富沢 裕司 [著]
出版社
フォレスト出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784866803142
発売日
2025/02/21
価格
1,870円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】報連相を変えるだけ「ロジカル思考」を簡単に使いこなすコツ

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

著者が『仕事ができる人は4つのことだけを考える』(富沢裕司 著、フォレスト出版)を通じて伝えようとしているのは、「ロジカル思考のスキルやコツ」だそう。

「ロジカルシンキング」「論理的思考」とも呼ばれているロジカル思考は学ぶのが難しく、実際のビジネスシーンに落とし込むことも容易ではないでしょう。しかし、著者のいう「ロジカル思考」はもっとシンプルなものであるようです。

具体的には、「合目的」「構造化」「論拠」「網羅」の4つの要素からなる方法です。これらの要素を意識して実践することで驚くほど仕事がはかどるようになります。しかも、メールや資料作成、報連相といったコミュニケーションなどの日常業務から、大切なプレゼンや商談などの重要案件、そして問題解決まで、幅広く活用できるのです。(「まえがき 本当に仕事で使えるロジカル思考」より)

多くのビジネスパーソンは、ロジカル思考の重要性を認識しながらも、自分の仕事の進め方がロジカルかどうかチェックできずに悩んでいるのだとか。しかし、それは「合目的か?」「構造化されているか?」「論拠は整っているか?」「網羅しているか?」で確認すればいいというのです。

そして、本書の内容を理解して活用すれば、きっとあなたは、そしてあなたの部下は、「話がわかりやすくて仕事が早い人になっていくはずです。

(「まえがき 本当に仕事で使えるロジカル思考」より)

著者はこう断言していますが、本書で紹介されているロジカル思考を身につけるまでには試行錯誤や紆余曲折を経たといいます。つまり、ここで明らかにされているのは、実体験に基づく頑強なメソッドなのです。

きょうは序章「ロジカル思考の4つのステップ」に焦点を当て、基本的なことがらを確認してみることにしましょう。

ロジカル思考の4つの要素

冒頭で触れたように、ロジカル思考に必要な要素は「合目的」「構造化」「論拠」「網羅」の4つ。さらに具体化すれば、次のようになるわけです。

① 合目的:内容が目的に合っている。

② 構造化:全体の構造が明確である。

③ 論拠:答え(意見、判断、提案など)の理由が適切である。

④ 網羅:情報に漏れや重複がない。

(28ページより)

これらを整えることが、ロジカル思考に沿った説明や仕事の進め方。この4つを実現できれば、わかりやすく、納得感があり、安心感が生まれるというわけです。したがって結果的には、ムダなやりとりが減って仕事も早くなるということ。

たとえば、なにか説明をした結果、相手から「それじゃないよ」「なにがいいたいの?」「長いな」「本当?」「理由は?」「それだけ?」「ほかには?」などというようなことばが返ってきたとしたら?

いうまでもなくそれは、こちらの説明がロジカルでないことが原因なのです。

なお、相手からそういったリアクションが返ってくる場合、次のような原因が考えられるそうです。

「それじゃないよ」:目的に合っていない(合目的でない)

「何が言いたいの?」「長いな」:全体の構造が明確でない(構造化されていない)

「本当?」「理由は?」:答えの理由が適切でない(論拠がつながっていない)

「それだけ?」「ほかには?」:情報に漏れや重複がある(網羅されていない)

(29〜30ページより)

こういった反応をされないように、コミュニケーションの前にチェックしてみることが大切だということ。

具体的には、打ち合わせやメールを送るとき、電話をかけるとき、会議で発言するときなどには、上記のような「ダメな反応」をされないようにすることが大切。そのため事前に、自分の考えを4つの要素で整理しておく必要があるのです。(28ページより)

ロジカルに仕事を進めるコツ

「合目的」「構造化」「論拠」「網羅」という要素を整えるためには、次のように自分に問いかけたり、相手に確認したりすることが重要。そうすれば、ロジカル思考が可能になるわけです。

「目的は」と言う、書く:目的が何かが相手に伝わります。

最初に伝えることが何個あるか言う、書く:全体の構造が明確になります。

論拠(理由)を具体的に挙げて比較する:答えに対する論拠が適切になります。

相手に確認する/枠組みを活用する:情報に漏れや重複がないかを確認します(枠組みの活用とは、社内のフォーマットやチェックリストと照らし合わせて、漏れや重複を確認する方法です。網羅は他力を使う、といってもよいでしょう)。

(37ページより)

これらは、どれも当たり前なことのように思えるかもしれません。しかし、意外にやっていない人が多く、それが組織における問題だというのです。

だからこそ、こうしたことを身につけて実行すれば、毎日行うメール、資料の作成、取引先とのやりとり、上司への報連相、会議の進行などが合理化され、とても効率的になるというわけです。

おそらく、みなさんがこれまで読んできた、あるいは教えられた「ロジカル思考」とは違い、悪く言えば「あっけない」、よく言えば「非常に簡単」と思われたのではないでしょうか。そう、このように4つの要素を意識するだけで、容易にロジカル思考をビジネスに落とし込むことができるのです。(39ページより)

そしてロジカル思考を仕事に取り入れることができれば、夜20時までかかっていたような業務を18時に終えられるなど、仕事時間の短縮も実感できるようになるようです。(37ページより)

本書を読めばロジカル思考の本質がわかり、ロジカル思考を活用した働き方ができるようになると著者は断言しています。そのため無駄な時間が減り、業務の質が上がるとも。ビジネスパーソンとしてさらに成長するために、参考にしてみる価値はありそうです。

Source: フォレスト出版

メディアジーン lifehacker
2025年4月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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