『ゆれる日本語、それでもゆるがない日本語』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『ゆれる日本語、それでもゆるがない日本語』塩田雄大著
[レビュアー] 産経新聞社
「置き去りにされる」という意味の日本語は、「おいてけぼり」か「おいてきぼり」か―。NHK放送文化研究所に勤める日本語の専門家が、揺れ動く日本語の実相を豊富な調査データで裏付ける。
語源となったのは江戸・本所の「おいてけ堀」という池。ここで魚釣りをすると、水中から「置いてけ」と声がしたと伝わる。時代が下るにつれて後発の「おいてきぼり」が主流となり、昭和40年にはNHKでも使用を推奨。しかし現代では逆に、若年層ほど古い形の「おいてけぼり」を使っているのだという。言葉の揺れをとがめるのではなく、楽しむための一冊だ。(世界文化社・1870円)