『頼る人はうまくいく 「手放せない人」から「任せられる人」へ』
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【毎日書評】「全部やらなきゃ」をやめたら、チームが回り出した。頼る力を発揮する方法とは?
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『頼る人はうまくいく』(村井庸介 著、主婦と生活社)の著者は、企業変革の現場で「社外番頭」として多くのリーダーをサポートしている人物。以前、『番頭イズム: “欲しがられる人材”の共通点』(産業能率大学出版部)という著書をご紹介したこともあります。
これまでの活動のなかで実感しているのは、多くのリーダーが「忙しくて、(本当に)やりたいことができない」という悩みを抱えていることだそう。共感できる話ではありますが、それは「頼る。自分で全部やろうとしない」ことによって改善できることでもあるのだといいます。
事実、「リーダーが本来やりたかったことに集中できる環境」をつくれた企業は、過去最高の年商や利益を達成するなど、大きく成長してきたのだとか。
つまり、どんな規模の組織のリーダーであっても、成果を上げる人とそうでない人、目の前のことに汲々としている人と余裕を持って未来を見ている人との違いは、「頼るチカラ」の違いである――というのが、私のこれまでの経験から導いた結論です。
社長であれ、チームリーダーであれ、できる人は、社内だけでなく、社外の取引先も含めて外部を上手に頼り、自社(自分達の組織)がやるべきことに集中できるような仕事の仕方をしているのです。(「はじめに」より)
なお著者は本書において、こうした“頼るチカラ”を「外注力」と名づけています。そして、そこから「リーダーにとってなぜ外注力が必要なのか」「外注力を発揮するメリット」「外注力を発揮するコツ」などを明かしているわけです。
きょうはそのなかから第2章「『頼る人』はこんなにもラクに成果が出せる!」に焦点を当て、「外注力を持った人=頼る人」が持つメリットを確認してみたいと思います。
苦手な課題をスムーズに進められる
リーダーは、自社の成長や変革のためのさまざまな経営課題に直面するもの。とはいえ、すべての分野に精通することは困難でもあります。とくにマーケティング、DX、人事、法務、財務会計など専門性の高い分野については、苦手意識を持つリーダーも少なくないはずです。
しかし、そこで外注力の真価が発揮されるわけです。
外部のプロ人材は、その道のプロになるまでに膨大な経験と実践知を積み重ねています。自社でゼロからその知識や経験を蓄積しようとすると、学習時間だけで大きく遅れをとってしまいます。特に、ビジネス環境が急速に変化する現代では、その遅れが致命的になることもあります。(53ページより)
一方、プロ人材は専門性のみならず、その分野における解決手段の幅広さをも備えているもの。端的にいえば、自社だけでは思いつかない多様な解決策を提示できるわけです。
たとえばマーケティングのプロ人材は、最新のデジタルマーケティング手法から従来型の販促活動まで、幅広い選択肢のなかから、その企業に最適な戦略を提案することができるはず。
つまり著者によれば外注力とは、こうしたプロ人材の知見と経験をお金で買うことであるようです。だとすれば、何年もかかる学習時間を効率的に短縮するための投資であるとも解釈できそうです。(51ページより)
内省する時間を確保できる
リーダーにとって、内省する時間を持つことはとても重要。内省すれば、ものごとを俯瞰的に捉えられるからです。とはいえ日々の業務に追われていると、目の前の問題解決に終始してしまいがち。しかし、それでは現場の細かい点ばかりに目が向いてしまい、視野が狭くなってしまいます。
では、どうすればよいのか? そうした状況を打開するための方策が「外注力の活用」です。たとえば外注できる仕事は外部に任せ、社内で集中すべき仕事を社員に任せる。そうすれば、現場の細かい問題やそれらに費やす時間に縛られずにすむのです。(78ページより)
外注力の真の価値は「リーダーの視点を変える」こと
外注力を活用することの真の価値は、リーダーの視点を変えることにあります。
「問題をどう解決するか」という一人称の視座から、「誰に任せれば解決できるか」という司令官の視点へと転換することができるのです。これは単に仕事を委託するだけでなく、組織全体の力を最大限に引き出すための重要なスキルです。(79〜80ページより)
そして、こうした視点の転換は、リーダーの思考と行動に大きな変化をもたらすものでもあります。まず変化するのは、問題解決に至るまでのスピード感と効果。最適な人材を見つけ、適切に任せることによって、効率的かつ効果的な問題解決が可能になるわけです。
また当然ながら、時間の使い方も大きく変わることになるでしょう。具体的にいえば、リーダーは細かい業務から解放されるため、戦略的思考に時間を割くことができるようになるのです。
これまで忙しくて実行に移せなかった仕事に時間を費やしたり、将来的な事業機会を探ったりすることができる時間が生まれるわけです。企業の長期的な成長と存続にとってもきわめて重要な仕事に集中できるということなのですから、メリットはきわめて大きいはずです。
この視点は組織全体の成長にも寄与します。リーダーが適切に仕事を任せることで、特に部下は挑戦の機会を得ることができるからです。これは、個々人のスキルアップや、組織全体の能力向上につながります。
さらには、外部人材に対する目利き力も上がるため、今後新しい課題が生じた際にもポイントを押さえて外注することができるようになります。(80ページより)
俯瞰的な視点を持つことは、自部門の最適化に終始することなく、組織全体の最適化に意識を向けるようになれるということ。そのため、大きな成果を上げることにもつながるのです。
ただし、俯瞰的な視点を持つことと、現場の実態把握のバランスは重要。完全に現場から離れてしまうと、実態とかけ離れた判断をしてしまう危険もあるからです。したがって定期的に足を運び、数値だけでなく定性情報も収集することが必要となるわけです。(79ページより)
外注力を身につければ、仕事を効率的に進められるようになり、人間関係もより円滑になりそう。「つい抱え込んでしまう」という悩みをお持ちのリーダーは、本書を活用してみてはいかがでしょうか?
Source: 主婦と生活社


























