『江戸東京 庶民信仰事典』
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『江戸東京 庶民信仰事典』川副秀樹編著
[レビュアー] 宮部みゆき(作家)
主に東京23区内にある様々な庶民信仰のスポットを取り上げ、写真とマップで丁寧に紹介。日常のなかで生じる願い事のために、どこへ足を運んで拝めばいいのか一目でわかるというありがたい本だ。ただ大判の上装で索引も含めると500ページ近くあるので、願掛け散歩のお供にはコピーを活用したいですね。
著者によると、本書は江戸時代の書物『江戸神佛 願(がん)懸(かけ)重(ちょう)寶(ほう)記(き)』の現代版を目指しているという。庶民の信仰を集める存在は正統的な神仏に限らず、歴史上の人物、狐狸(こり)・もののけや古木までとバラエティに富んでいる。願掛けという真(しん)摯(し)な行いと「重宝」という感覚が矛盾しないのも、その親しみやすさが根底にあるからだ。写真は子供の風邪と、(今年になって流行が拡大している)百(ひゃく)日(にち)咳(ぜき)を治してくださる台東区橋場のお化け地蔵さまです。(国書刊行会、4950円)