『河内と船場』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『河内と船場』山本昭宏編著
[レビュアー] 産経新聞社
「大阪」といえば。お笑いであり、人々はがめつくて―というステレオタイプな大阪像の形成過程を8人の研究者が解き明かす。
鍵となるのが、タイトルにもある河内地方だ。今東光(こんとうこう)の小説によって「柄の悪さ」が誇張された面を指摘しつつ、同時期の大阪を舞台にした山崎豊子らの作品とも比較。映画やラジオ、そしてお笑いが与えた影響など、多面的に大阪像の形成過程をたどる。
「凡庸な『大阪』のステレオタイプがあるからこそ、『本当の大阪』を語る言説は活性化する」という一文の通り〝ほんまの大阪〟を語りたくなる一冊だ。(ミネルヴァ書房・3080円)