平塚らいてうが礼賛し、作り方を披露するゴマじるこ。徳川夢声が瓶と味に魅せられたラムネ。安岡章太郎、吉行淳之介がお気に入りだった豆カンは、寒天と豆と黒蜜だけの蜜豆。近現代の作家や漫画家らのおやつにまつわる随筆、詩歌、漫画など59編を収録。
深沢七郎は自ら店主を務めた今川焼き店の歌を作り、内田百閒が酒飲みは甘いものを食べないといわれることに「窮屈である」と主張する。甘いものが苦手な村上春樹が年に2回ほど襲われる「チョコレート発作」の謎なども。
手作りの白玉ずんだを味見する宇野千代の表紙写真も味がある。(平凡社・2200円)

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2025年5月18日 掲載
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