交通事故で生死をさまよった男性の人生を変えた「3000冊の読書」とは? ベストセラー作家になった「コ・ミョンファン」インタビュー
インタビュー
『本は人生を生き抜く最強の武器である』
- 著者
- コ・ミョンファン [著]/小笠原藤子 [訳]
- 出版社
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- ジャンル
- 社会科学/社会科学総記
- ISBN
- 9784799331521
- 発売日
- 2025/05/24
- 価格
- 1,980円(税込)
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交通事故で生死をさまよった男性の人生を変えた「3000冊の読書」とは? ベストセラー作家になった「コ・ミョンファン」インタビュー
[文] ディスカヴァー・トゥエンティワン
コ・ミョンファン(고명환)氏
交通事故で生死をさまよった後、3000冊もの本を読み、自らの人生を大きく変えた――。
韓国で、ノーベル文学賞受賞ハン・ガンと並んで第11回教保文庫出版アワード「今年の作家賞」を受賞し、今、最も注目されているベストセラー作家の一人である、コ・ミョンファン。
その代表作である『本は人生を生き抜く最強の武器である』が、2025年5月についに日本で刊行されました。
出版を記念して、著者本人にインタビューを実施。
「本は、人生を変えるための最強の武器になる」と語る彼が、どんな読書体験を経て、どのように人生を立て直してきたのか。
今を生きる私たちに向けて、“人生を生き抜く”ための読書術を語ってくれました教えてくれます。
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生死をさまよった韓国のお笑い芸人、Youtubeと本で人々の心をつかむまで
――改めてご経歴を教えていただけますか。
はい、改めて日本の皆さんに自己紹介させていただきます。
私は韓国でお笑い芸人・俳優として30年間活動してきました、コ・ミョンファンと申します。
現在は飲食店の経営をしながら、作家として本を執筆しています。
――お笑い芸人として長年活動されてきた中で、なぜ本を書くようになったのでしょうか。
きっかけは、2005年にドラマ『海神(ヘシン)』の撮影中に起きた交通事故です。移動中の事故で生死の境をさまよい、目を覚ましたときに医師から「1秒後にでも命を落とすかもしれない」と宣告されました。
とても衝撃的な体験でしたが、幸運にも奇跡的に回復することができました。
ただ、その経験を通じて強く思ったんです。
「私は今まで、誰かに引っ張られるようにして生きてきた。でもこれからは、自分の意思で人生を歩んでいきたい」と。
とはいえ、当時の私は“どうすればそんな生き方ができるのか”という答えを持っていませんでした。
その答えを探すために、事故をきっかけに本をたくさん読むようになったのです。
本を読む中で、私は「自分の中にいる偉大な人たち」に出会いました。
本の中の言葉が、私に多くの知恵を授けてくれて、少しずつ答えを見つけることができました。
本はまさに、私の人生を生き抜く“武器”になったのです。
何年も読み続けるうちに、「自分でも本を書けるのではないか」と思うようになり、それが1冊目の執筆につながりました。
これまでに韓国で5冊の本を出版し、ありがたいことに2024年には「第11回 教保文庫出版アワード」で〈今年の作家賞〉をいただくことができました。
――受賞の背景には、「自己啓発のアイコン」としてのYouTubeなどでの発信も大きかったと思います。どんな発信をされてきたのでしょうか?
以前、うつ病を患っていた時期がありました。1か月以上、何もやる気が起きない状態が続いたんです。
そんなときに、「この状態をどうにかしたい」と思っていた中で出会ったのが、「アファメーション」という方法でした。
アファメーションとは、なりたい自分の姿をポジティブな言葉で自分自身に言い聞かせることで、潜在意識に働きかけ、自己肯定感や自尊心を高めていくという手法です。
このアファメーションを、毎日1回、YouTubeで配信し続けました。気づけば1年間継続していて、そのうちに自分自身も少しずつ理想に近づいていくのを感じました。
そして、視聴者の方々も真似をするようになり、「夢が叶いました」とコメントをいただくことが増えていったんです。
最初はアファメーションの配信だけでしたが、次第に内容も広がり、現在では1,200日以上、ポジティブなメッセージを発信し続けています。
私はこの活動を「1万日続けよう」と決めていて、視聴者のみなさんのことを「1万日同志」と呼んでいます。
おそらく1万日配信の達成は2047年ごろになると思いますが、1万日目には記念イベントを開いて、親しい歌手や俳優を招いて盛大に祝いたいと思っています。