『ロシア帝国ウサージバ物語』
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『ロシア帝国ウサージバ物語』坂内知子著
[レビュアー] 産経新聞社
ウサージバとは、ロシアの貴族屋敷。本書では最後の王朝、ロマノフ朝300年のウサージバの変遷をたどり、そこで営まれた貴族の暮らしを浮かび上がらせる。
本書によると、ロシアでは18世紀に軍や役所で昇進することで貴族階級になることが可能に。世襲貴族は土地と農奴を私有。冬は勤務地、夏は領地で暮らし、全土にウサージバが建設されたという。
例えば、首都郊外に別邸を建設したある中流貴族は名家と姻戚関係にあり、16カ所の領地と農奴の納税男子2435人を所有していた。敷地の見取り図や館を描いた図版も収録。ロシア文学の背景が分かる一冊。(成文社・2750円)