『だったらこれならどうですか』
- 著者
- ヨシタケ シンスケ [著]/MOE編集部 [編集]
- 出版社
- 白泉社
- ジャンル
- 文学/日本文学、評論、随筆、その他
- ISBN
- 9784592733218
- 発売日
- 2025/05/14
- 価格
- 1,430円(税込)
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読み始めると親がハマる絵本作家 ヨシタケシンスケの世界観
[レビュアー] 夢眠ねむ(書店店主/元でんぱ組.incメンバー)
2013年に『りんごかもしれない』で絵本作家デビューしたヨシタケさん。私は子ども向け書店店主という職業柄、絵本関連の仕事をすることが多いのだが、ヨシタケ前・ヨシタケ後と分けられるくらい彼が絵本業界そのものに与えた影響はとても大きいと感じる。彼の絵本には“発想えほん”というシリーズがあり、読むと絵本でありながらもしっかり哲学書なのだ。可愛らしくポップだけど、人の本質に迫る内容ばかりでドキッとしたりう~むと考えさせられたり、時にはホロリと泣いてしまったり。最初は子どもに買ったけど、読んでいるうちに親の方がハマってしまう作家さんの一人である。
本書『だったらこれならどうですか』は、東京で開催されていた『ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ』展の図録のような一冊。展覧会の写真やスケッチ、既刊の作品情報も満載なのでヨシタケさんの世界観にたっぷり浸れるのだが、ロングインタビューが掲載され、それがもう沁みる沁みる。
私はこのインタビューで存在を知ったのだが、24年にオープンした「かくれてしまえばいいのです」は、ヨシタケさんが自殺防止に取り組むNPO法人ライフリンクと共に開発したWeb空間。生きるのが辛い人たちが気軽に訪れられる「かくれが」だ。しんどい時に人に相談できない人でも、病院に行くのを躊躇っていた人でも、もうその気力がない状態でもアクセスできる素晴らしい取り組みが紹介されている。
幼い頃から自己肯定感が低かったヨシタケさんは決定的に自分を信じられなくなった瞬間を書いているのだが、そこで「将来誰も救えないんだ」と絶望した経験がある彼が、今では数え切れないほどの人を救っているという、救い。他にも「老い」や「アウトプットについて」など大人にぴったりな話題も満載なので、絵本は自分には関係ないかな、と思っている世代にもぜひヨシタケ入門として読んでもらいたい。


























