『障害のある10代のための困りごと解決ハンドブック』
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『障害のある10代のための困りごと解決ハンドブック』野口晃菜/松波めぐみ編著
[レビュアー] 東畑開人(臨床心理士)
やさしい本だ。しかし、同時にラディカルな本でもある。
やさしいと思ったのは、障害のある10代の子どもたちに向けて、困りごとの助けになるように工夫が尽くされているからだ。文章は読みやすく、イラストもわかりやすい。きっと当事者の役に立つ本だと思うから、待合室や職場の本棚のような、人目に付くところに置くのもいい。
ラディカルなのは、この本には障害のある10代たちから見える世界が描かれているからだ。たとえば、恋愛をしたいのに、介助してくれる大人たちがいつも傍(そば)にいることが「障害」になっているという悩みを想像したことがあるだろうか。そのとき、「障害」とは何か、本当はどこにあるのかを深く考えさせられる。
だから、障害のない大人たちも読むべきだ。目の前の世界が今までとは違うように見えるはずで、そのこと自体が世界をやさしくすることなのだと私は思う。(現代書館、2200円)