『まぼろしの馬』イサク・ディネセン著、田辺欧訳、酒井駒子絵
[レビュアー] 産経新聞社
映画「愛と哀(かな)しみの果て」「バベットの晩餐(ばんさん)会」の原作者で、20世紀のデンマークを代表する作家の掌編を初邦訳。
舞台は1930年頃の英国の、同じ一族が何代も所有してきた屋敷。病床に伏していた6歳の少女ノニーは見舞いにきたセドリック叔父さんと、車庫に改装された厩舎(きゅうしゃ)に残る馬具部屋を訪れる。そこはノニーが亡くなった少年ビリーと遊んでいた場所で―。ノニーの贅沢(ぜいたく)好きな両親のエピソードと、耳の聞こえないビリーの世界が対比され、屋敷にまつわる伝説の謎解きが絡む。わずか40ページだが濃密な物語。静謐(せいひつ)でキラキラした情景が味わい深い。(東宣出版・1980円)


























