なぜ、休んでも「疲れ」がとれないのか?脳神経外科医が教える本当の休息法

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働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術

『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』

著者
菅原道仁 [著]
出版社
アスコム
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784776214090
発売日
2025/07/31
価格
1,694円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】なぜ、休んでも「疲れ」がとれないのか?脳神経外科医が教える本当の休息法

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

現代人は昔とくらべると、圧倒的に体を動かさなくなっています。にもかかわらず、「疲れている」人はどんどん増えている印象がある――。

脳神経外科医である『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』(菅原道仁 著、アスコム)の著者は、そう指摘しています。周囲を見渡してみても、疲れている人は多いはず。また、自分自身が疲れを感じることも少なくないでしょう。

それは、脳が疲労を感じているからであるようです。情報過多でコミュニケーション方法も複雑化する現代社会では、自律神経が疲れることも、心が疲れることも少なくありません。しかも自らのアイデンティティや他人との人間関係に悩むことも多いので、必然的にストレスを感じる人が急増しているということ。

では、どうすればいいのでしょうか?

大切なのは、「疲れるのが当たり前」を受け入れることと、疲れを感じたら無理をせずに休息することです。上手に休息すれば、疲れを感じにくい脳を育てていくことができますし、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)は確実に向上します。(「はじめに」より)

著者はそのことを伝えるために、本書を執筆したのだとか。たしかに休まなければ、パフォーマンスは落ちることになります。でも思いきって休めば、ふたたび本来の力を取り戻すことができるはず。

だからこそ休息は、人生の目標や目的を達成するための「ツール」だと著者は述べています。本書は、そのツールを上手に使いこなすための“テクニック集”なのだとも。

きょうは第2章「心の疲れをリセットする技術」の中から、2つのポイントを抜き出してみたいと思います。

スマホに触れない時間をつくると心が安らぐ

「情報をつねにアップデートしておきたい」と感じるのは当然のこと。最新情報を知ることによって作業が効率化できるかもしれませんし、周囲の人とのコミュニケーションがよりよくなることも考えられるでしょう。

しかし、それでも限度はあります。情報のアップデートは大切ですが、“自分にとって役に立たない情報”まで頭に入れておく必要はないのです。

にもかかわらず、手当たり次第に有象無象の情報を頭に押し込んでいる人は少なくありません。でも、それは絶対にやめるべきだと著者は主張しています。そんな状態では脳が休息できず、疲弊しきってしまうからです。

脳を休ませるために、思いきってスマートフォンを断捨離してみてはいかがでしょうか。断捨離といっても完全に捨て去るわけではありません。帰宅したあとの夜の時間帯は電源を切る、あるいは手の届かない場所に置く――これを実践してみましょう。(157ページより)

むしろ磨くべきは、必要な情報だけを精査してインプットする「取りこむ力」、「それらを「理解する力」、理解した情報を「誰かに伝える力」、そうした情報から新たなアイデアを生み出す「ひらめく力」だというのです。

この4本柱がしっかりしていれば、スマホを効果的に活用し、不要な情報をシャットアウトすることが可能。さらには自分らしさもついて、心に安らぎと休息を与えることができるといいます。(156ページより)

1時間に5〜10分は休息する

誰もが多忙な毎日を過ごしていますが、とはいえやはり「忙しすぎ」は考えもの。つねにフルパワーで働いていたら、脳が疲弊しきってしまうからです。また、「あれをやらなきゃ」「これを終わらせなきゃ」という心理的圧迫を受け続けていたのでは、心が休まる暇もありません。忙しくても、休みはしっかりとるべきなのです。

ところが困ったことに、日本人はとにかく休むのが苦手。「やれるところまでやる」「ひと区切りついたら休む」というように、仕事を一段落させてから出ないと休みに入れない(入らない)働き方が“基本”だったりするわけです。

そういったスタイルには、仕事がスピーディーに進む印象があるかもしれませんが、実際にはそうともいえないようです。休まなければ集中力を維持できず、かえって効率を悪くしてしまう可能性があるからです。

一方、「休息を入れたほうが仕事がはかどる」というケースは往々にしてあるもの。短時間の休憩から長期休暇に至るまで、すべてに同じことがいえるそうです。

2023年のGDPランキングで日本よりも上だったドイツは、あらかじめ休む日や期間を決めておくのだそうです。そしてそのタイミングが来たら、たとえどんなことがあっても休みに入るというのです。

日本人の感覚からすると「そもそも時間がないんだから、そんなの無理に決まってる」ということになるかもしれません。しかし、それでも見習うべき点はありそうです。

そこでご紹介したいのが、著者が勧めている「短時間の休憩のススメ」。要するに、「少しだけ休もう」ということです。

人間の集中力が、継続して15分、それを3セット繰り返して45〜50分あたりで限界を迎えるというのはよく知られた話。そのタイミングで休憩を挟まないと、リセットされないわけです。

だいいち、休憩せずに数時間も仕事に没頭していたら、効率よく進められるはずもありません。自分では集中しているつもりでいても、実際には100%の力を発揮できていないということは決して少なくないのです。

職種や職場の環境によっては難しい人もいるでしょうが、できれば15分に1回は首を回すなどの軽いストレッチや深呼吸をするショートブレイクを、1時間に1回は5〜10分程度の休憩を入れるようにしてください。(169ページより)

著者が指摘しているように、急いでいるときなどにはつい「これをやってから」と思ってしまいがちですが、思いきってそれをやめてみるべきだということ。そして、短時間であっても休むことが大切なのです。

疲れをため込まず、仕事を効率よく進めたいのであれば、結局はそれがベストだということです。(168ページより)

これから先の人生のビジョンを明確化し、それを実現するためにも、休息は大切だと著者は述べています。そこで本書のなかから休息にまつわる有益な情報を抽出し、ぜひとも実行に移したいところです。

Source: アスコム

メディアジーン lifehacker
2025年8月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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